2016 Fiscal Year Research-status Report
プロスペクト理論の妥当性・有用性の分析:大震災と不動産価格への応用
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16K03565
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Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
生藤 昌子 山梨学院大学, 国際リベラルアーツ学部, 特任准教授 (60452380)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘドニック・アプローチ / 地震リスク / リスクプレミアム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生起確率は非常に小さいが一度起きると莫大な経済損失をもたらす大災害リスクの評価分析について、行動経済学理論の整合性の検証を行うことを目的とし、地震災害リスクがどのように不動産価格に影響を与えるかを実証分析する。今年度は主にデータの整備に多くの時間を割いた。まず東京23区と4つの政令指定都市の選定を行い、2006年から2015年の間の不動産取引価格について国土交通省土地総合情報システムを用いてデータを収集した。不動産価値は、住宅や土地それ自体の特性の他、近隣の教育や文化、利便性など様々な要素が影響するため、それらの要素を考慮するヘドニック・アプローチを用いる。それぞれの区長村について当該期間の地域統計データを総務省統計局から、将来の地震リスクは防災科学技術研究所のJ-SHIS地震ハザードステーションより、さらに人々のリスク認知に影響を与える過去の地震についての日時、位置、震度などの記録を気象庁より収集した。不動産取引データは正確な位置の特定が不可能である一方、地震に関するデータは特定の位置に対応したものであるため、取引不動産と地震データをどのように関連づけさせるかという問題に取り組んだ。 ジオコーディングを用いて大まかな地理座標を各不動産に与え、その上でその地点を含む地域メッシュコードに対応をさせることによって、その各メッシュコードに含まれる地震データを関連づけた。同時に計量分析モデルの構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では初めにパイロット分析のために東京23区だけを分析する計画を立てていたが、他の都市の不動産取引・地域の特性データ、地震のデータの収集と整理を行ったので、分析のための整備に時間がかかった。データ整理の手順や統計的記述などをまとめたデータ・ノート を作成できた点においては順調に進めていると言える。しかし、不動産は土地、建物などの種類とその個別情報が異なることに加えて地震リスクを導入するため、計量モデル自体が非常に複雑となり、 分析可能なモデルの構築が終了できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、観測されたデータに基づく客観的な長期・短期地震リスクと個人の不動産投資に関する主観的なリスクを考慮した計量モデルの構築を中心に行う。実証分析の結果を出して、まずディスカッション・ペーパーにまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)