2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03570
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
佐々木 俊一郎 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50423158)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 実験 / 嘘 / 互酬 / 社会的選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に実施した実験のデータを分析し、論文「嘘と効率性:実験による分析」を執筆し、行動経済学会第11回大会で報告した。当該報告に対する討論者および参加者からのコメントを参考にして、実験結果の頑健性を検証するため、2018年1月に追加実験を行った。追加実験の結果も含めると、これまで本研究において明らかになったのは、(1)利己的嘘は負の互酬を生むが利他的嘘および向社会的嘘は正の互酬を生まないという「互酬の非対称性」が存在すること、(2)互酬の非対称性の存在により、利己的嘘および利他的嘘は利得配分の効率性を低下させること、(3) 贈与交換ゲーム実験において労働者がチープトークのコミュニケーション可能な場合、労働者が嘘をつくことが労働者と企業の間で共通知識になっているためにコミュニケーション自体が無意味になること、(4) 贈与交換ゲーム実験では、企業の賃金に対する労働者の努力水準の互酬性が存在し、その互酬性は労働者の不平等回避性を反映していること等である。これらの研究結果については、2018年2月に2018 Asia Pacific Economic Science Association Conferenceにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において主な分析対象となる実験データの収集は、ほぼ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
論文を執筆するとともに、学会発表を行う。また、必要に応じて追加的な実験を実施する。
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Causes of Carryover |
事前の計画よりも実験謝金が少額で済んだために次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度に追加的に実施する実験における謝金、研究報告のための旅費等に使用する予定である。
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