2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03578
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
野口 旭 専修大学, 経済学部, 教授 (00208315)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マクロ経済政策 / 非伝統的金融政策 / ヘリコプター・マネー政策 / 出口戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の中心的課題は、リーマン・ショック以降の各国のマクロ経済政策の変転と拮抗の背後にあるマクロ経済政策の理論と思想を解明することを通じて、今後のマクロ経済政策運営にとっての教訓を引き出すことにある。本年度に関しては、日本の非伝統的金融政策および財政政策、ヘリコプター・マネー政策に代表される金融と財政の統合政策を中心に研究を進め、いくつかの記事を書き、講演等も行った。 とりわけ焦点をあてたのは、日銀による異次元金融緩和政策の現状と評価であり、さらには異次元金融緩和からの出口戦略をどう考えるべきかという問題である。異次元金融緩和政策については、単にインフレ目標の達成のみでなく、雇用の改善あるいは失業率の低下という基準から評価すべきであることを明らかにした。異次元緩和からの出口においてはさまざまな問題が指摘されているが、現状のイールドカーブ・コントロール政策の枠組みで長期金利目標の引き上げを通じて行われるべきことを論じた。また、日銀債務超過論や国債低下金融危機論には根拠がないことを指摘した。ヘリコプター・マネー政策に関しては、デフレ脱却において最も効果的なのは量的緩和政策と赤字財政政策の統合というかたちのヘリコプター・マネー政策であり、そこではとりわけ状況依存の非増税コミットメントが重要であることを指摘した。 具体的な著作としては、日本語での単著(ちくま新書より出版予定)の執筆を進めるのと並行して、英文著書の執筆を進めた。また、2016年8月に2週間ほどアメリカのハートフォードに滞在し、浜田宏一イェール大学名誉教授との共同研究を行った。その内容は、マクロ経済政策をめぐる内外専門家へのインタビューの整理である。その成果の一部は、上の著作に組み込まれる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的な著作としては、日本語での単著(ちくま新書より出版予定)と英文の著書を、同時並行的に執筆している。前者は草稿段階でほぼ6割が完成し、後者は2割程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本語での単著(ちくま新書より出版予定)は、2017年6月までには脱稿する予定である。英文著書は、2018年3月までには脱稿予定である。
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Causes of Carryover |
当初は英文著作を執筆を優先することを考えており、そのための英文校正費用を見込んでいたが、日本語著作を執筆スケジュールが早まったために、その分が繰越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本語著作の執筆は6月頃には終了し、その後は英文著作に専念する予定のため、繰越された英文校正費用が支出されることになる。
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Remarks |
ニューズウィーク日本語版
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