2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theory and Thought of Macroeconomic Policy in Economic Crisis
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16K03578
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
野口 旭 専修大学, 経済学部, 教授 (00208315)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロ経済政策 / 非伝統的金融政策 / 政策生成プログラム / 古典的自由主義 / ケインズ主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題はリーマン・ショック以降の各国のマクロ経済政策の変転と拮抗の背後にあるマクロ経済政策の理論と思想の解明にある。当初は研究を英文著作として公表する目標を最優先し、それに向けての作業を続けていたが、研究の過程で多くの知見が得られたため、研究内容を拡張および整理し、日本語の学位請求博士論文としてとりまとめることを優先した。その成果は、令和2年4月に著書『経済政策形成の論理と現実』として専修大学出版局から出版された。その構成は以下である。 第1部:政策形成の論理、第1章:経済政策形成の専門的文脈と社会的文脈、第2章:政策形成における既得権益と観念、第3章:経済政策論の中核と防備帯、第4章:政策プログラムとしての古典的自由主義とケインズ主義、第2部:経済政策の現実、第5章:貿易をめぐる空虚な争い、第6章:経済学と「国際競争主義」との対立、第7章:デフレをめぐる政策思潮の対立、第3部:ケインズ主義の政策戦略とその変遷、第8章:世界経済危機からみたマクロ経済学の現状、第9章:巨大な不況に対するケインズ主義の新たな対応、第10章:ケインズ主義はどのように変わっていったのか 第1部では公共選択としての経済政策形成の論理を、政策生成プログラム(Policy incubation program)という概念を通じて解明した。特に、過去から現在までのマクロ経済政策を貫く二つの競合する政策思想である古典的自由主義とケインズ主義を「中核」と「防備帯」の重層構造として把握した。第3部では、リーマン・ショック以降の各国のマクロ経済政策の変転を念頭におきながら、ケインズ主義の防備帯にある政策戦略がどのように変転したのかを解明した。この第3部の内容の一部は、学術誌に英語論文として公表された。
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Remarks |
MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(6完)─正統派との共存可能性 https://www.newsweekjapan.jp/noguchi/2019/08/mmt6.php
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