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2018 Fiscal Year Research-status Report

『国富論』における政府の役割と『道徳感情論』の正義論との関連性に関する研究

Research Project

Project/Area Number 16K03587
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

高 哲男  九州大学, 経済学研究院, 特任研究者 (90106790)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywordsアダム・スミス / 『道徳感情論』 / 『国富論』 / 共感 / 自己愛 / 感情 / 正義 / 競争
Outline of Annual Research Achievements

本年は、1.『国富論』の理論全体の丹念かつ正確な再構成をおこなうために、細部まで再度綿密に検討すること、および、2.成果の一部を学会で報告し、どの程度まで研究者に理解され、支持されるかを確認すること、さらに、3.スミスが初期から最晩年に至るまで一貫して「完成を目指していた」独自の認識論を、内在的に再構成する作業に専念した。
1.については、『国富論』は何しろ大部の著作であって、ようやく第五編にたどり着くことができた。もう数カ月あれば、完了するであろう。
2.経済学史学会とイギリス哲学会関東部会で、『道徳感情論』の理論構成を明確化し、従来の通説的理解の不十分さを指摘し、会員の感想を確認したが、十分に理解してもらうためには、もう少し「整理した形で、問題提起する必要がある」ということを確認した。
3.スミスの初期論文のうち、「模倣芸術論」だけは、1780年代半ばに完成されたことが、おおよそ確認されているが、そこで展開されたことの大部分は、「音楽、とくに言語表現を欠く器楽器曲が、なぜ人間の感情を掻き立てるのか」という、知覚論・認識論の根本問題であるが、従来のスミス研究では全く検討されてこなかった新しい発見は、スミスが晩年まで「音楽好き」であり、エジンバラ音楽協会の会員として、毎週音楽会に通っていた、という事実がある。現在、周辺の情報を集め、さらに、スミス自身の断片的な記述を厳密に再構成して、論文にまとめるる作業を進めつつある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

研究題目自体は、絞り込んだうえで設定したため、それほど時間を要するとは思われないものであるが、内容的には、『道徳感情論』と『国富論』の共通性、とくに理論的な関連性を明確化しようということであるだけに、作業量は膨大になっている。予想よりは、かなり遅れた理由はそこにあるが、最晩年の方法論の著作「模倣芸術論」が、スミスの方法論・認識論体系の中で、どのような位置にあるのかを確かめる手がかりを発見・確定できたとはいえ、それが、全体の中でどのような位置を占めるのかを確定する作業に、ことのほか苦労している。そのような理由から、もう一年研究期間を延長していただき、何とか形あるものにまとめ上げようと努力している所である。研究時間が十分確保できるようになり、逆に、検討すべき事項が増えてきた、というのが実感である。

Strategy for Future Research Activity

1.まず、『国富論』の理論的再構成の作業を終えること。
2.「模倣芸術論」を整理し、論文に仕上げて、外国の専門雑誌に投稿する。
3.出版社には、原稿が完成したら、出版するという「一応の了解」をもらったので、著書をまとめる作業を開始する。
4.可能であれば、学会報告をもう少し重ねて、研究者の意見を確認したい。

Causes of Carryover

研究自体の進展が、予定していたペースで進行していないこと。エジンバラで調査した資料の持つ意義が極めて大きく、十分な時間をかけて、検討する必要が出てきたこと。通説との違いが明確化してきたので、もう少し、広く研究者の意見・感想・批判を確認し、時節が研究史上もつ位置について明確化したほうが良い、と思われてきたこと。残額は多くないが、資料の調査と学会発表に費やしたい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 道徳感情論』における「共感」の理論構造――第一部と第二部を中心に2019

    • Author(s)
      高 哲男
    • Journal Title

      イギリス哲学研究

      Volume: 42 Pages: 155-156

  • [Journal Article] On the Meaning of the Layered and Evolutionary Structure of“Utility” in Adam Smith’s The Theory of Moral Sentiments.2018

    • Author(s)
      Tetsuo Taka
    • Journal Title

      九州産業大学『エコノミクス』

      Volume: 22 Pages: 25-43

  • [Presentation] 31『道徳感情論』第二部がもつ独自の意義について――功績と欠点という感覚:心的傾向とは何か2018

    • Author(s)
      高 哲男
    • Organizer
      経済学史学会
  • [Presentation] 32『道徳感情論』における「共感」の理論構造――第一部と第二部を中心に2018

    • Author(s)
      高 哲男
    • Organizer
      日本イギリス哲学会 関東部会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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