2017 Fiscal Year Research-status Report
ベイズ法を用いた経済格差の計測 - 富裕度と貧困度を中心として
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16K03589
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 光 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (30189534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ベイズ統計学 / 不平等度 / 所得分布 / MCMC |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度と同様,本研究の中心となるZenga曲線及びZenga指標に関連する文献の収集とその詳細な検討を行った.Zenga曲線及びZenga指標のベイズ推定では,パレート分布を用いた文献はあるが,より複雑な分布を用いた文献をない.そこで,今年度は所得分布に二重パレート対数正規分布 (double Pareto lognormal distribution) を仮定し,Panel Study of Income Dynamics (PSID) のデータを用いて,Zenga曲線及びZenga指標のベイズ推定を行った.得られた結果は,「所得分布とZenga指標」というタイトルで 同志社大学経済学会研究会で発表した.また,「Zenga指標についての覚書」というタイトルで 北海道大学大学院経済学研究院のディスカッション・ペーパーとして発表した.また,所得分布としてk-一般化分布を用いた場合のZenga曲線及びZenga指標のベイズ推定を考察した.
今年度に新たに着手した研究として,富裕度の研究がある.富裕度に関する文献の収集し,それらを詳細に検討することで,先行研究で既に行われていることとまだ行われていないことを整理した.特に,Aaberge and Atkinson (2014) の詳細な検討を行い,富裕度の研究とZenga曲線及びZenga指標との関連性を考察した.今年度に行った研究成果は,本研究プロジェクト最終年度である次年度に,論文に纏めていく考えである.なお,完成した論文は海外の専門誌に投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも書いた通り,交付申請書に記載した「平成29年度の研究実施計画」に沿って研究を推進しており,研究は順調に進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「平成30年度の研究実施計画」に沿って今後の研究を進めていく. (a) 開発した手法の再検討と拡張:研究期間の最終年度にあたる平成30 年度には,平成28 年度及び平成29 年度に構築したベイズモデルの実証分析への応用に際しての問題点を検討し,その修正を行う. (b) よりフレキシブルなモデルへの拡張:申請者の過去の研究業績(2013年に発行したディスカッション・ペーパー及び2003年のJournal of Econometrics掲載論文)を参考にして,富裕度指標及び貧困度指標の推定方法をベイジアン・ノンパラメトリック法を用いた推定方法に拡張する. (c) 研究成果の発信:得られた実証結果を幾つかの論文にまとめ,学会・セミナーで報告するとともに,海外の有力専門誌に投稿する.また,3 年間の研究成果をまとめ,科学研究費補助金研究成果報告書を作成する.
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Causes of Carryover |
使用残額が12630円と少額なため必要な洋書やソフトウエアの購入には不足している.そのため,次年度の交付金と合わせて使用することとした.
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