2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03591
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
姜 興起 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70254662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 英雄 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 准教授 (90347724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 景気動向指数 / 原油価格変動 / 日本経済 / 同時方程式モデル / ベイズモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、以下の4つのテーマに取り組んだ。 第1は、同時方程式モデル分析の新規アプローチの提案である。本研究課題の推進にあたり、同時方程式モデルは1つの重要なツールとなる。したがって、同時方程式モデルの分析に関する従来のアプローチを検討したうえで、逐次体系化法という新規提案をした。これを適用すれば、従来のアプローチで識別不能とみなされてきた多くのモデルで識別問題は発生しない。また線形・ガウス型モデルの場合、逐次体系化法によるパラメータの推定量は最尤推定量に一致することも明らかになった。 第2は、統計モデルに基づく景気指標の開発である。この研究では、状態空間モデルを用いて、景気動向指数作成に用いられている系列をトレンド成分、季節成分および景気循環を反映する定常変動成分に分解し、各系列における定常変動成分の主成分で景気動向指数を作成する。日本経済に関する実証研究の結果、提案法で構築した景気動向指数はCIの一致指数よりも実質GDPの変化に近い振る舞いが見られた。 第3は、原油価格と日本の景気との対応関係に関する実証研究である。具体的には、状態空間モデルを用いて、原油価格変動の時系列を長期変動成分と短期変動成分に分解し、その長期変動成分の山・谷と日本における景気変動の転換点との対応関係を検討した。分析結果によれば、原油価格の長期変動成分の山は日本の景気循環の山と時間的にほぼ一致している。これは原油価格の高騰が日本の景気の悪化をもたらした要因の1つであることを示唆している。 第4は、生鮮肉類間の価格と消費の影響関係の解明である。景気動向指数の遅行系列に家計消費支出が含まれていることのように、景気分析において家計消費の変化は無視できない。ここでは、時変係数付きVARモデルによって、日本における牛肉、豚肉および鶏肉の消費変化の相互影響関係を周波数領域と時間領域の両面から検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
景気関連データ分析の基礎研究に着実な進展が見られた。これまでの共同研究に基づく充分な準備があり、新しいデータの収集と分析にも努めた。また、研究代表者と分担者は、共同研究の成果を国内外の学会で発表し、国際学術誌にも掲載している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の研究計画に沿って研究を進めていくことを考えながら、研究の範囲を新規のモデル構築と方法の開発に拡張することも視野に入れる。
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Causes of Carryover |
今年度、論文投稿と英文の校正にかかわる支出額が当初の予想を下回った。また、次年度は論文投稿料のほか、国際会議への参加旅費の支出額が増加する見込みである。そのため、計画的に今年度の研究費を次年度に回すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月15日~17日、香港で開催の国際会議The 1st International Conference on Econometrics and Statisticsに参加するための旅費を200千円程度計上し、論文投稿料を200千円程度計上している。
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Research Products
(4 results)