2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03591
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
姜 興起 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70254662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 英雄 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 准教授 (90347724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 景気動向分析 / GDPと景気指標の関係分析 / ビッグデータの利用 / ベイズ型統計モデル / 平滑化事前分布 / 時変構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、主に商業販売額、失業率、設備稼働率、消費者物価指数など景気変動の月次指標と四半期実質GDPの間の動的依存関係を分析した。本研究で提案するtwo mode regression (TMR) のモデルでは、時変係数とGDPと景気判断指標の時間的ずれを表すラグパラメータを組み込んでいる。時変係数は平滑化事前分布によるベイズ法で推定され、ラグパラメータの推定値は最尤法で求められる。時変係数の推定値からGDPと景気変動指標との動的関係を把握ができ、ラグパラメータの推定結果から両変数間の先行・遅行関係も読み取れる。したがって、それらの間の因果関係が分析可能となる。また、TMRモデルのアプローチは景気の拡張期と後退期で別個のモデルを構築するので、景気変動の各フェーズに適切に対応したものとなっている。 主要な結果は次のとおりである。(1)商業販売額(卸売業)とGDPとの関係について、拡張期における商業販売額はGDPに1年ほど遅行した変動が目立つ。また、3ヵ月先行する変動も見受けられ、後退期においては両変数がほぼ一致して変動している。(2)失業率(男性)とGDPとの関係について、拡張期において失業率はGDPに1ヶ月先行した変動が顕著である。ただし、14~17ヵ月で遅行する変動も観察され、後退期においては2~4月でGDPに遅行している。いずれの時期においても両変数は負の相関関係にある。景気動向分析において、通常、商業販売額は一致系列に、失業率は遅行系列とみなされているが、本研究の結果によれば、各景気指標と景気変動との関係は必ずしも従来の想定通りでない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
景気変動メカニズムを解析するための実証研究に大きな進展が見られた。新規提案手法に基づく実証分析も着実に進めている。並行して、株価や不動産価格などのビッグデータを活用した景気動向分析にも取り組んでいる研究代表者と分担者は、共同で多くの研究成果を国内外の学会で発表し、国際学術誌にも掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の研究計画に沿って研究を進めつつ、重点的な課題として分析手法の体系化に取り組む。平成30年度は、景気変動のメカニズムを解明するための実証研究を深めながら、より精緻な分析手法の構築に向けたビッグデータ解析を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度、論文投稿にかかわる支出額が当初の見込みより下回った。また、次年度は論文投稿料のほか、国際会議への参加旅費の支出額が増加する見込みである。そのため、計画的に今年度の研究費を次年度に回すこととした。 (使用計画) 7月10日~12日、ロンドンで開催の国際会議 Computing Conference 2018 に参加するための旅費を250千円程度計上し、論文投稿料を100千円程度計上している。
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Research Products
(7 results)