2016 Fiscal Year Research-status Report
最低賃金が中国出稼ぎ労働者と都市労働者間の賃金格差に与える影響に関する調査研究
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16K03611
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
馬 欣欣 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (80634253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 最低賃金制度 / 所得分布 / 所得格差 / 中国国有部門 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は第1に、最低賃金制度の制定・実施経緯および制度の仕組みに関する研究を行った。具体的に中国北京師範大学、中央財経大学図書館、中国人力資源与社会保障部賃金研究所文献センター、一橋大学経済研究所資料室の資料をサーベイし、計画経済期(1949年~77年)および市場経済移行期(1978年~現在)の2期に分けてそれぞれの時期における賃金政策・制度の変遷を吟味したうえで、最低賃金制度の制定・実施の経緯および制度の仕組みを明らかにした。これらの研究で、経済制度史の研究手法を活用し、歴史資料を取集したうえで、制度的視点からの説明・解釈を行った。第2に、ヒアリング調査に関する質問票を設計し、中国大連・北京で国有企業、外資系企業、民営企業の人事担当者(6人)を訪問し、ヒアリング調査に関するプリテスト(pre-test)を行い、中国企業における賃金制度の実態を把握することができた。第3に、これらのデータを整理し、調査票を改善した。第4に、研究結果をまとめ、一橋大学で開催する国際セミナーInternational Workshop “Economic Transition and System Reform in China: Evidence from Micro-data Analysis”で”Labor Market Segregation by Industry Sectors and Wage Gaps between Migrants and Local Urban Residents in China”について報告し、またEuropean/UK Chinese Economics Association Annual Meetingで”Industrial Segregation and Wage Gaps between Migrants and Local Urban Residents in China”について報告し、日本国内と海外で研究成果に関する情報発信を積極的に行った。第5に、一部の研究結果をまとめて学術論文を作成し、6本の学術論文はJournal of Chinese Economic and Business Studies、Chinese Studies、Modern Economy等の国際レベルの学術雑誌で掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、研究計画にしたがって、最低賃金制度の制定・実施経緯および制度の仕組みに関しては、計画経済期(1949年~77年)および市場経済移行期(1978年~現在)の2期に分けてそれぞれの時期における賃金政策・制度の変遷を吟味したうえで、最低賃金制度の制定・実施の経緯および制度の仕組みを明らかにした。これらの研究で、経済制度史の研究手法を活用し、歴史資料を取集したうえで、制度的視点からの説明・解釈を行った。 次に、研究計画の通り、ヒアリング調査に関する質問票を設計し、中国大連・北京の国有企業、外資系企業、民営企業の人事担当者(6人)を訪問し、ヒアリング調査に関するプリテスト(pre-test)を行い、計量分析に関する制度背景を明らかにした。 最後に、研究結果を日本国内と海外の学会で報告し、研究成果を発信すると同時に、コメントを貰い、学術論文を作成し、英語版の国際レベルの学術雑誌に投稿し、6本の論文として掲載されており、世界中に研究成果を発信できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後まず、企業調査の調査票を確定した後、大連、上海で国有企業(2社)、外資系企業(4社)および民営企業(4社)の10社(そのうち、平成28年度の6社を含む)を追加し、企業に関するヒアリング調査を実施する。また、日本企業や一般読者向けの雑誌での公刊を行い、社会還元を行う。次に、すでに入手した中国家計所得調査の個票データを活用し、最低賃金制度が出稼ぎ労働者と都市戸籍住民間の賃金格差に与える影響に関する計量分析を行う。これらの調査結果を学術論文としてまとめ、国内学会(アジア政経学会、中国経済経営学会)および国際コンファレンス(Second World Conferenss of Comparative Economics))で報告した後、学術雑誌Chinese Economic Review、Journal of Comparative Economicsに投稿する予定である。
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Research Products
(10 results)