2017 Fiscal Year Research-status Report
最低賃金が中国出稼ぎ労働者と都市労働者間の賃金格差に与える影響に関する調査研究
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16K03611
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
馬 欣欣 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (80634253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国 / 最低賃金制度 / 労働市場分断化 / 賃金格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず企業調査の調査票を確定した後、国有企業(4社)と外資系企業(2社)、民営企業(2社)の8社を対象とするヒアリング調査を実施した。 次に、すでに入手したChinese Household Income Project survey (CHIPs) 1995、2002,2007のミクロデータおよび最新データ(CHIPs 2013)を活用し、分析できるデータセットを構築し、実証研究を行った。これらの研究成果について、2017年度中国経済経営学会春季大会、2017年度アジア政経学会秋季全国大会、Second World Congress of Comparative Economicsで報告し、日本国内および海外で研究成果を発信した。そして学術論文「最低工資制度対中国城鎮工資分配的影響」(中国語)は李実・岳希明・史泰麗・佐藤宏等著『中国収入分配格局的最新変化』(中国財政経済出版社、2017年12月)で公刊された。また、単著学術論文2本が公刊された。 また、中国経済経営学会と共催した国際セミナー(”Data, Analysis and Development”)を開催し、研究成果を公表すると同時に、国際ネットワークを構築し、海外研究者との国際交流を行い、この分野に関する最新情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、研究計画にしたがって、企業調査の調査票を設計し、予備テストを行った後、国有企業(4社)と外資系企業(2社)、民営企業(2社)の8社を対象とするヒアリング調査を実施し、この分野に関する最新の実態情報を入手できた。 次に、最新のミクロデータを入手し、実証分析を行っている。その一部の研究成果をまとめ、日本国内および海外の学会・国際シンポジウムで報告し、研究助成事業としての研究成果を発信した。分析結果をまとめ、中国語の学術書籍に論文が収録されている。英語の査読付き学術雑誌に投稿し、2本の論文が公刊されている。 また、中国経済経営学会と共催した国際セミナー(”Data, Analysis and Development”)を開催し、研究成果を発信すると同時に、国際ネットワークを構築し、国際学術交流を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、最低賃金制度が出稼ぎ労働者と都市戸籍住民間の賃金格差に与える影響に関する計量分析に重点をおく。地域別最低賃金水準のデータを活用し、Oaxaca-Binder要因分解モデルを用いて、複数時点(CHIP1995、2002、2007、2013)における出稼ぎ労働者と都市戸籍住民間の賃金格差に関する要因を、各要因の平均値の差異(属性格差)、推定係数の差異(評価格差)の2つに分けてそれぞれの要因の影響を計測したうえで、最低賃金水準が賃金格差に与える影響を数量的に解明する。これらの分析結果に基づいて学術論文を作成し、国内学会(アジア政経学会JAAS、比較経済学会JACES、中国経済経営学会JCEMS)および国際コンファレンスで発表し、学術論文をまとめて投稿を行う。また日本で国際セミナーを開催して研究成果を発信する。
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Research Products
(9 results)