2018 Fiscal Year Annual Research Report
Computable general equilibrium analysis of economic integration and foreign direct investment
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16K03613
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60313483)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 応用一般均衡分析 / 企業の多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Brexit分析のために先年構築した、企業の多様性と製品差別化のある応用一般均衡モデルと呼ばれる多部門のマクロ経済モデルを農業分析に応用し、日本の農業政策のあり方について検討した。そこでは、(製造業)企業ではなく、農家・農産物に関して多様性と製品差別化を想定した点が特徴的である。このモデルを用いて、農業・食品の自由化がどのように日本の農業の将来に影響を与えるかについて、農産物輸出振興、6次産業化といった近年の新しい農政の文脈でシミュレーション分析を行った。具体的には、日本が、中国、NAFTA、EU諸国といった主要な8つの経済圏との間で、個別に2国間自由貿易協定を結ぶことを考える。そこでは、農業と食品のそれぞれについて相互に輸入関税を引き下げることを想定する。そのとき、日本の農業分野がどの程度、輸出や国内生産を拡大できるのかを明らかにした。シミュレーションによって、期待に反して、農産物の輸出拡大は、農業貿易の自由化によっては達成できず、むしろ、食品貿易の自由化によって日本の食品輸出が伸び、それを支える中間投入としての農産物需要が伸びることが、国内農業にとって重要であることがわかった。 国際的な要素移動に関する分析としては、バングラデシュを対象に、海外への出稼ぎ労働者が直面する賃金率の低下した場合の国内経済や海外への労働移動の変化の影響を動学的応用一般均衡モデルで分析した。この種のネガティブなショックに対する政策的対応を検討し、そこでは、海外直接投資の流入や、国内労働者の教育・訓練によって人的資本の質を高めることを考え、それらの効果を検討した。
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