2018 Fiscal Year Annual Research Report
A mechanism through which SES affects health: a case of the arsenic mitigation campaign in Bangladesh
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16K03619
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
萬行 英二 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30421233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子供の健康 / 社会経済ステータス / ヒ素 / バングラデシュ / 胎児乳幼児期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、バングラデシュの飲料水ヒ素汚染という事例を通じて、社会的因子である社会経済ステータス(SES)が生物的因子である子供の健康に影響を与えるメカニズムの解明に貢献することにある。すなわち、i)家計の社会経済ステータスの違いによってヒ素の健康被害を防ぐための行動に違いがあったのか、またii)地下水のヒ素汚染が5歳までの子供の健康に与える影響の2点を分析する。 1990年代に実施された、バングラデシュ政府によるヒ素啓発キャンペーンを自然実験として、乳幼児期にヒ素汚染に晒されることが子供の健康に与える影響を分析した。年齢・性別毎に標準化した身長を子供の健康の指標として、ヒ素汚染の程度が高い地域においては、ヒ素汚染の程度が低い地域と比較して、ヒ素啓発キャンペーン後、子供の身長はより改善した。さらに、家長の教育程度が比較的高い(正式教育あり)子供の健康の改善は統計的に有意であったが、家長の教育程度が低い(正式教育なし)子供の健康の改善はそうではなかった。 2018年度においては、学会などで指摘された問題について改善を試みたが、目に見える改善には至らなかった。i)village間の属性の違いをコントロールできるように、ヒ素汚染の程度の計測をより細かい地域レベルで行うべきあり(district単位でななくvillage単位で計測)、villageレベルのヒ素汚染データと家計情報のマッチングを試みたが苦戦している。家計の位置情報(GIS)を使用できるかもしれない。ii)ヒ素啓発キャンペーン後、当初ヒ素汚染の程度が最も高かった地域より、ヒ素汚染の程度が中程度であった地域で、子供の健康改善の程度が大きかったことについて、その理由を提示するよう求められた。この問題は、villageレベルのヒ素汚染データを使って分析すれば解決する可能性があるので、上記のi)に焦点を絞って今後研究を継続。
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