2017 Fiscal Year Research-status Report
動学的貿易モデルをもちいた経済発展と所得格差に関する理論分析
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16K03626
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩佐 和道 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00534596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動学的貿易モデル / 所得格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、急速な経済のグローバル化の下で進展する各国の経済発展と国内外の所得格差、並びにそれらに関連して実施される経済政策について、動学的貿易モデルを用いた理論分析を行い、今後の経済予測と有効な政策の提言を行うことである。 前年度に行った研究(閉鎖経済化での所得格差と経済発展の関係について、富裕層と資産を保有しない貧困層が存在するモデルに内生的時間選好を導入した分析)をまとめ、国外で報告を複数回行った。そして得られたコメントをもとに改訂し、査読付き雑誌へ投稿した。 また、Blanchard(1985)に基づいた連続時間の世代重複モデルに、非相似拡大的選好を導入したモデルを構築した。そして選好が非相似拡大的であっても、異時点間の代替の弾力性が一定であれば、定常均衡における分析が可能であること、また、通常の無限期間のモデルとは異なり、財が正常財であっても複数均衡が発生する可能性があることが判明した。そのモデルを用いて、所得格差と経済発展の関係についての分析を行うため、基礎的なモデルの性質を明らかにした。 それと並行して、国際貿易が各国の経済厚生に及ぼす影響について、単純な仕組みの動学的南北貿易モデルの下で考察を行った。そして不決定性が発生する際には、両国の厚生水準が先進国の家計の予想により変動することを示した。また不決定性が発生する条件には、全く異なる2つの条件が存在するが、その条件は先進国の貯蓄と財の市場均衡条件を考察することで、統合的に解釈することが可能であることを示し、それらの結果を論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つの研究については、海外での報告をもとに論文を改訂し雑誌に投稿中であり、また他の研究についても順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度中に、他の研究についても論文をまとめ、国際学会での報告を行ったうえで、論文を改訂し雑誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた国内出張が不要となったため。 次年度の国内での学会報告旅費として使用する。
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