2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03639
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| Research Institution | University of Hyogo |
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Principal Investigator |
木村 真 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (50419959)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 世代重複モデル / 産業構造 / 医療介護 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
日本の労働力人口が減少するなか、高齢化で増大する医療介護需要に対し十分な従事者を確保できるのか。また逆に医療介護産業の波及効果により経済に良い影響がもたらされるのではないか。本研究では、これら人口高齢化の産業構造や労働市場への影響について、平成28年度から平成31年度の4年間で、生産を多部門化した世代重複モデルの応用一般均衡シミュレーションを活用して明らかにすることを目的としている。
研究初年度の平成28年度は、研究環境の整備とシミュレーションに用いる多部門世代重複モデルの構築にとりかかった。具体的には、これまで用いてきたモデルの改良を試みた。また、多部門モデルでは産業連関表を用いるが、まずは本研究課題の基礎的な分析として、複数年度にわたって産業連関表における産業構造の推移をチェックし、分析した。さらに現在、平成24年度の社会保障・税一体改革で敷かれたロードマップに従って、社会保障の各制度に関して改革が進められている。世代重複モデルで押さえておくべき社会保障制度のうち、年金改革ついては平成27年度末に掲載決定、平成28年度半ばに掲載された研究（吉田周平・木村 真「公的年金財政検証における財政均衡方式の評価」『社会保障研究』Vol.1, No.1, pp.192-208, 2016）を通じて動向を確認している。他方、主な研究対象である医療介護に関しては、平成28年度末から平成29年度前半にかけて、本研究課題と密接にかかわる医療介護の需給推計が行われる見通しである。本研究が政策論議と遊離した研究とならないよう、実際の改革論議や動向の把握に努めているが、一方その影響で具体的なシミュレーションの実施時期も後ろ倒しになっている。これらの結果、研究初年度の対外的な業績としては、年度末に研究会にて以上のような現状の把握と今後の見通しについて研究報告を行ったのみとなっている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
医療介護の制度改革の動向は、将来見通しに大きくかかわる。現段階で明らかになっているスケジュールを概観すると、まず医療介護の提供体制の改革を進めるための前段階として、平成28年度末から平成29年度末にかけて医療介護の需給推計が行われる。一方、保険制度については、平成30年度から国民健康保険の財政運営の主体が市町村から都道府県へと移行する大きな改革が行われる。平成29年度は、そのシステム構築に向けて具体的な制度設計がなされているところである。医療介護の提供体制、保険制度のいずれも、本研究課題を進めるうえで密接に関わってくる問題であり、ある程度見定まった段階でシミュレーションを実施する必要がある。また、その結果、最終的なシミュレーションの成果はやや遅れが見込まれる。
以上を踏まえ、現在までに行っているのは、具体的な成果として表には出てこない部分だが、こうした改革の動向を把握することのほか、それとは関係なく行える過去の産業構造の変化に関する分析である。また、制度とは関係ない部分の多部門世代重複モデルの改良に取り組んでいる。また昨年度に従事した在外研究（英国）などを通じて国内外の研究者のネットワークづくりにも取り組んでおり、本研究に関して様々なコメントをもらい、研究に活かせる環境が以前より充実してきている。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の予定より研究成果の発表や応用一般均衡分析において遅れが生じている。しかし、現段階では、研究内容そのものについては計画当初の予想を超えるような大きな障害は発生していないと考えている。したがって、当初の研究方針は堅持し、研究補助の積極的な活用も含め、遅れを取り戻すべく鋭意努力したい。
具体的には、シミュレーション・モデルの改良を最優先事項として取り組み、前進させたいと考えている。特に多部門モデルで扱う産業部門の数や関数の選択、最新の研究動向を踏まえた消費者行動モデルの構築などに取り組みたい。次に、産業構造の分析についても、初期パラメータの与え方やモデリングに影響することから、初年度に実施したことを継続深化させ、さらに何らかの形で研究発表できればと考えている。また、必要なデータの収集、類似研究や制度改革の動向把握については、研究補助を積極的に活用して、研究代表者自身の負担を軽減する。さらに、学会発表の前段階として研究会での発表機会を多く持てるよう、初年度に引き続き内外の研究者と交流を図る。
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| Causes of Carryover |
第一に、平成２８年度の前半は在外研究中だったため、執行にやや難があったことが理由として挙げられる。また、そのこともあって、印刷等の各種消耗品の費用が少なくなったこと、十分な人数の研究補助を確保できなかったことが続く理由として挙げられる。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品等の費用は確実に増える見込みである。また研究活動をより推進するため、次年度に繰り越せた分をデータの収集や整理等の研究補助の確保に回し、その活用を図る。また、他の研究者との意見交換や研究発表の機会を増やすのに旅費として活用する。
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