2017 Fiscal Year Research-status Report
多地域間産業連関アプローチによる中国の主要貿易相手国が誘発する環境負荷の推計
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16K03648
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
筑井 麻紀子 東京国際大学, 商学部, 教授 (40275798)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産業連関分析 / 環境経済学 / 地域間比較研究 / 中国 / 政策シミュレーション / 経済政策 / 計量経済学 / 地域経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国の環境・廃棄物統計資料を精査した結果、中国環境統計年鑑を始めとする資料から、産業別の廃棄物排出量とリサイクル率が得られることがわかった。また、中国投入産出学会や河北省投入産出学会の主要メンバーへのヒアリングから、二酸化炭素排出量に関する情報はIPCCへの報告書とエネルギー消費量の統計資料から二次的に推計している点など、文書化・公表化されていない環境統計に関連する情報を得ることができた。多地域間廃棄物産業連関表のベースとなる多地域間産業連関表については、アジア国際産業連関表(JETRO, 2013)、ICIO(OECD-WTO, 2013)、GTAP(Narayanan et al., 2012)、EXIOPOL(Tukker, 2009)、WIOD(Dietzenbacher et al., 2013)、Eora(Lenzen et al., 2013) といった各プロジェクトを比較した結果、推計作業における計算機負荷や普及の度合いを考慮の上、WIODを採用することとした。その上で、どのような課題が考えうるか検討を行った。また、研究成果としては、多国間が関わる貿易活動の一部である観光の影響に注目し、台湾・韓国・中国からの訪問客が日本の京都での観光に伴う経済及び環境への影響で推計し、学術論文として成果発表を行った。その結果、日本政府のVISIT JAPAN政策の推進により2000年から2014年にかけて観光需要が大幅に伸びると共に環境負荷も増大した。負荷軽減のためには食品リサイクルによる廃棄物の軽減や、電力、輸送の脱炭素化による温暖化ガス排出量の削減が有効であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
勤務校で2018年度から新しく担当した講義準備のため、予定していたエフォートを確保できなかった。そのため、有識者へのヒアリングや、基本となる統計資料の精査といった基盤となる取り組みは順調に行われていたものの、それらの進捗を総合して成果に結びつけるには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
中国の統計資料と共に、既存の研究成果であるライフサイクルアセスメントのインベントリ情報や中国環境産業連関表(CEEIOT, Liang et al.2015)といった情報も活用し、多地域間産業連関表WIOTの拡張を行い、多地域間廃棄物産業連関表の推計作業に入る。また、近年注目されている国際貿易における付加価値貿易の考え方を導入し、中国とその貿易相手国との環境負荷の責任分担を明らかにしている。また、環境に重大な影響を与えている鉱業についてもさらに統計資料やインベントリ情報を収集し、より精査した内容を検討したい。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況理由」で述べた理由と重なるが、進行状況がやや遅れたために発表や論文投稿の計画が後ろ倒しになったために予定していた支出が発生せず、次年度である2018年度未使用額が生じた。今年度は推計作業と成果発表を中心に取り組むため、謝金と論文投稿費、英文校正費、掲載費といった目的での使用を中心としていく予定である。
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