2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03649
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Research Institution | Shumei University |
Principal Investigator |
荒井 弘毅 秀明大学, 総合経営学部, 教授 (30362594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 恵美 徳島大学, 大学院理工学研究部, 助教 (30508312)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 産業組織論 / 建設マネジメント / 規模の経済 / 入札データ |
Outline of Annual Research Achievements |
国土交通省地方整備局の入札・契約情報での事業者の実際の入札額と落札額を収集・整理して,基礎的なデータを確認した。地方整備局ごとに,入札日,契約日,工事名,入札事業者名,入札金額,落札者等のデータが公表されているが,このデータを集めて,分析可能なフォーマットに整理して,異常値について確認することを重要な作業として行った。これを用いて,分析のための基本資料を整備し、2006年からの全国の地方整備局のデータを整備して研究の基盤を固めた。 これと並行して,地方創生の基盤構築のために必要な政策,特に公共調達を通して実現する施策における事業者の行動の特性を,基本的な経済理論に基づいてモデルを構築し,理論的な仮説を設定する。ここでの理論的な仮説とは,例えば,建設業者が,ある地域だけで事業を行っている者と広域にわたって事業を展開している者のどちらが,より落札しやすいかという検討課題に対して,建設業においては規模の経済はそれほど顕著に認められるものではないが,建設機械の融通,間接費用の節約の観点から,より大きな範囲で事業を行っている者が効率的な可能性があると考えることができる。この仮説に基づいて,データを活用して実証分析を行った。 具体的には,2006年度から2012年度までの北海道開発局における開発建設部別の公共調達データに基づいて,石狩川開発建設部が2010年4月1日に札幌開発建設部に統合されたことを自然実験として捉えて,開発建設部をまたぐ入札を行っていた事業者と行っていなかった事業者との入札行動を比較検討した。結果として,石狩川開発建設部で入札を行っていた事業者のうち,開発建設部をまたぐ入札を行った者は,そうでない者と比べると入札率・落札率とも低い率での入札を行っており,広範囲に事業活動を行っている者は入札率・落札率が低く,いわば効率的に事業を遂行している可能性があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集・整理に関しては想定以上に推移している。モデルの設定と実証分析に関してはおおむね想定通りに推移している。報告の機会も順調である。今後の論文刊行に向けて一層注力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
原則として,英文論文を執筆し,国際学会を含め世界的に成果を発信していくことを目指している。しかしながら,査読のプロセスには時間が掛かることもあり,一層論文執筆・改定に向けて努力することとしたい。
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