2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03650
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
友原 章典 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80448810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 移民 / 海外直接投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本が直面している問題の1つである人口の高齢化や減少は、将来的に国内貯蓄の減少や生産年齢人口の減少など、経済的に様々な負の側面を持つとされており、今後の日本はこれまでのような経済成長が期待できないと危惧されている。こうした状況を打破して、持続可能な経済成長を達成するため、海外直接投資の流入を促進させたり、移民の受け入れ拡大させたりする政策が提唱されているが、既存研究はアメリカやヨーロッパを対象にした研究であり、日本のデータを使用した研究はこれまでのところほとんど見受けられない 。
このため、当該研究では、日本と日本への移民や海外直接投資の源泉国との間の2国間データを使用して、移民流入と海外直接投資流入の関係について分析を行っている。特に、今年度は、移民による長期と短期の効果を区別して分析を行った。これまでの研究では、移民と海外直接投資の間には、長期的な正の相関がみられているだけであるが、今回の分析では、同時期に流入する移民と海外直接投資の間には負の相関がみられることを示した。この結果、短期的には、移民は海外直接投資の流入を阻害する可能性を示唆している。一方で、長期的には移民と海外直接投資の流入には正の相関がみられた。このため、移民による海外直接投資流入への効果に関しては、短期的な代替効果と長期的な補完効果を合わせて総合的に考える必要がある。こうした当該研究の成果は、貿易・産業・移民労働政策をめぐる議論に、有用な示唆を与えるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データの入力・整理に関しては、RA学生の学業、就職活動との兼ね合いや帰省等もあり、予想以上に作業に時間を要したため、当初の予定より遅れた。このため、当初予定をしていたいくつかの国の状況を比較するための分析に必要なデータ入力を後回しにし、とりあえず、日本のデータを使用して分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
移民や海外直接投資などによる国際ネットワークが知的財産貿易にどのような影響を与えているかを、日本をはじめアメリカなど、知的財産貿易において主要な役割を占める国々のデータを使用して、考察する予定である。こうしたネットワークの効果は、人や資金の流れの方向によって変わるのか、例えば、日本に滞在する外国人移民と海外で暮らす日本人の間では影響が異なるのかなどを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)データの入力・整理に関しては、RA学生の学業や就職活動との兼ね合いや帰省等もあり、予定通りにRA作業が進まず、次年度以降に引き続き予算を使用することとなった。 (使用計画)データの入力・整理のためRAの費用を計上する。
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Research Products
(3 results)