2021 Fiscal Year Annual Research Report
Interactions of cross-border factor movements
Project/Area Number |
16K03650
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
友原 章典 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80448810)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 移民 / 貿易収支 / 海外直接投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本が直面している問題の1つである人口の高齢化や減少は、将来的に国内貯蓄の減少や生産年齢人口の減少など、経済的に様々な負の側面を持つとされています。このため、今後の日本はこれまでのような経済成長が期待できないと危惧されています。こうした状況を背景に、持続可能な経済成長を達成するため、海外直接投資の流入を促進させたり、移民の受け入れを拡大させたりする政策が提唱されています。 2021年度は、こうした政策に関して、外交政策で注目を浴びることが多い貿易収支について、国際的に移動する財(貿易)、人(移民)、資本(直接投資)の相互作用の観点から考察しました。1995年から2016年までのアメリカと経済交流のある16カ国との2国間データを使用して、移民が増えると貿易赤字が増えるのかを検証しました。それと同時に、2005年から2017年までのドイツと経済交流のある9カ国との2国間データを使用して、移民と貿易黒字の関係を検証しました。 分析の結果、アメリカの貿易赤字は移民の受け入れ増加とともに増えていましたが、ドイツでは逆の結果が示されました。アメリカとドイツでは移民の出身国に大きな違いが見られます。このため、移民の数というよりも、どの国から移民を受け入れているかなど、移民の性質によって貿易収支への影響が異なる可能性が示されました。これらの研究成果は、将来の貿易・産業・移民労働政策をめぐる議論に、有用な示唆を与えるものと考えています。
|