2018 Fiscal Year Research-status Report
TPP協定が日本の外国人労働者問題に及ぼす影響の国際労働経済学的分析
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16K03653
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
後藤 純一 神戸大学, 経済経営研究所, 名誉教授 (70234987)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経済統合 / TPP / 外国人労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
TPP協定は、本科研申請時には12か国で交渉が行われていたが、トランプ大統領就任によって中心メンバーたるアメリカが脱退することになり、根幹的フレームワークが揺らいだ。このため、本研究のフレームワークの確定にかなりの時間を要することとなったが、平成30年12月30日にアメリカを除く11か国で発効し新体制が成立した。 こうした経緯にかんがみ、本研究は、「新体制」におけるTPP協定が環太平洋地域の国際労働力移動(ヒトの移動)、特に日本における外国人労働者問題にどのようなインパクトを与えるかに関し、労働経済学と国際経済学とを融合させた国際労働経済学の視点から厳密な理論的・実証的分析を行うとともに、その成果をわかりやすいかたちで社会に提供し、政策決定についての議論に資することを目的として実施している。 平成30年度には、産官学の専門家へのヒヤリング・意見交換を重ね、分析の具体像を探るとともに、国際経済学的観点から厳密な分析を試みてきた。しかし、上述のように、トランプ政権の誕生で、分析のパラダイムの変更を余儀なくされることとなり、これへの対応に追われていたことも事実である。つまり、本科研申請時には、TPPというのはアメリカを含むTPP12を当然のものとして分析のフレームワークを構築しようと考えていた。しかし、平成29年1月のトランプ政権発足にともない、それまでTPP推進役だったアメリカ合衆国が離脱することとなった。そして、平成30年12月30日には、TPPはアメリカを除く11か国で発効し新体制が成立したわけである。 こうした、基本的フレームワークが流動的であるという困難な状況のなかで研究を進め、アメリカを除く11カ国でのTPP協定は、その経済的効果は限定的なものにとどまるのではないかという暫定的知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、TPP協定が環太平洋地域の国際労働力移動(ヒトの移動)、特に日本における外国人労働者問題にどのようなインパクトを与えるかに関し、労働経済学と国際経済学とを融合させた国際労働経済学の視点から厳密な理論的・実証的分析を行うとともに、その成果をわかりやすいかたちで社会に提供し、政策決定についての議論に資することを目的とする。具体的には、応募申請書に記載した4つの段階に分けたスケジュールに基づいて実施している。 平成30年度には、産官学の専門家へのヒヤリング・意見交換を重ね、分析の具体像を探るとともに、国際経済学的観点から厳密な分析を試みてきた。しかし、上述のように、トランプ政権の誕生で、分析のパラダイムの変更を余儀なくされることとなり、これへの対応に追われていたことも事実である。 こうした、基本的フレームワークが流動的であるという困難な状況のなかでで研究を進め、アメリカを除く11カ国でのTPP協定は、その経済的効果は限定的なものにとどまるのではないかという暫定的知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年12月に11カ国で発足したTTPの今後の動向(新規加盟やトランプ政権の動向など)に注視しつつ、国際経済学的観点からの分析を行う予定である。つまり、平成31年度の研究では、基本的パラダイムが流動的という困難のなかで、TPPが、環太平洋地域の国際労働力移動(ヒトの移動)、特に日本における外国人労働者問題にどのようなインパクトを与えるかに関する研究を行うとともにその成果の普及に努める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)TPPは12か国で交渉が行われてきたが、トランプ大統領就任によって中心メンバーたるアメリカが脱退することになり、根幹的フレームワークが揺らいだ。しかし、その後の交渉の結果、平成30年12月30日にアメリカを除く11か国で発効し新体制が成立した。このように、最近まで分析の根本的フレームワークが流動的であり、「新体制のTPP」の本格的な分析は平成30年12月末に初めて可能になったためである。 (使用計画)新体制でのTPPの本格的研究および研究成果の普及に次年度使用分を充当する予定である。
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