2016 Fiscal Year Research-status Report
開発途上経済の持続可能性に関する理論的研究:農村の資源管理と都市の失業
Project/Area Number |
16K03654
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大東 一郎 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (30245625)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 再生可能資源 / オープンアクセス / 二重経済 / 都市失業 / 最適政策 / 資源財輸出税 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.資源経済学で用いられる”sustainable yield"の概念を導入したハリス=トダロ型小国開放経済の静学モデル(1)の論文原稿を作成し、国際学会(Asia Pacific Trade Seminars 2016:国立台湾大学))、国内のセミナー(神戸大学経済経営研究所セミナー)で発表し、コメントを得た。それをもとにして改訂版を作成し、国際学術雑誌への投稿を開始した。レフェリーレポートの内容について、共同研究者とともに検討を続けている。
2.動学モデル(2)の分析からすでに得られている自給自足経済と小国開放経済との分析結果の違いのもつ経済学的意義について、共同研究者と議論を深めつつ、さらにモデル設定や分析を追加する可能性も検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.静学モデル(1)をもとに、農村の再生可能資源ストックが時間を通じて一定となる長期の定常状態についての分析を論文原稿にまとめ、Asia Pacific Trade Seminars 2016(国立台湾大学)、神戸大学経済経営研究所セミナーで発表した。そこで得たコメントをもとに改訂版を作成し、国際学術雑誌への投稿を開始した。現在、レフェリーレポートの内容を、共同研究者とともに検討している。
2.動学モデル(2)では定常状態に収束してゆく移行動学経路の分析を行っているが、上記のレフェリーレポートにそれを含めるべきとの指摘があったことから、静学・動学モデルの議論をどのように分けるべきかを考察している。また、移行動学経路の分析について、より多くの経済学的含意を導けるようにモデルに工夫を加えるか、今すでに得られている結果を使ったストーリーでまとめるか、共同研究者と議論を深めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.静学モデル(1)の論文については、レフェリーレポートにもとづいて改訂し、学術雑誌への掲載を目指す。
2.動学モデル(2)については、すでに構築してある自給自足経済と小国開放経済のモデルの分析結果にもとづく論文か、さらに分析を追加した論文のどちらを作成するか、共同研究者との議論を通じて決める。いずれの場合でも、完全雇用均衡について、関数形を特定化したモデルの数値解の挙動をMatlabを活用して調べる作業は追加することになるであろう。それにより、農村資源ストックの保全と都市失業の減少との両立可能性が時間を通じてどのように変化するか、自給自足経済と小国開放経済との違いがより明確になるように思われる。
|