2020 Fiscal Year Research-status Report
開発途上経済の持続可能性に関する理論的研究:農村の資源管理と都市の失業
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16K03654
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大東 一郎 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (30245625)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 再生可能資源 / オープンアクセス / 二重経済 / 都市失業 / 資源財輸出税 |
Outline of Annual Research Achievements |
小国開放ハリス・トダロ(HT)経済について“sustainable yield”を導入した静学モデル(1)の論文を、環境と開発の相互作用を重視する可能性の高い国際的な学術雑誌に投稿していた。エディターから、改訂を認める旨のレターと審査レポートが送られてきた。2人の審査員のレポートには、分析方法や理論的説明に関わる詳細なコメントが記されていたので、共同研究者と注意深く議論を進め、図解中心であったモデル分析を数式中心に修正し、すべてのコメントに応じる改訂を行った。現在もその学術雑誌での審査結果を待っている。
農村部門に農業をも加えた二重経済モデル(3)を構築する方法を探り始め、すでに見つけていた複数の先行研究論文を読解した。また、近年、農業生産性の向上が非農業部門(製造業、知識集約的なサービス産業など)への資源配分を促進するか否かという「構造転換(structural transformation)」を考察する農業経済学の学術論文が国際学術雑誌に発表されていることを知り、主要な文献を調査した。また、当該モデルを構築する有望な方策を探るべく、Matsuyama(1992、Journal of Economic Theory)を基礎に、2つのモデルを試作し分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小国開放ハリス・トダロ(HT)経済の静学モデル(1)の論文の審査員レポートは詳細で要求の多いものであったため、共同研究者とのオンライン会合やメールでの議論には、多大の時間を要した。しかし、文章の表現面でもいろいろな改善ができ、より明瞭な論述に改善することができた。また、モデル分析において数学的方法に重点を置き直したことから、より精確な表現での説明も可能となった。基本的な内容は変わっていないものの、研究論文としての質は向上したように思われる。
農村部門に農業をも加えた二重経済モデルを構築する方法を探る研究も、文献の調査・読解をおおむね順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
農村部門で資源財だけでなく農産物も生産される二重経済モデル(3)は、分析しやすい静学的な設定で構築することから始めることとしたい。
資源ストックと人口移動が同時に生じる動学モデル(2)は、共同研究者と共通理解が形成しにくいことが判明してきたので、単著の論文として書き直す案を考える。
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Causes of Carryover |
当初予定していたハワイ大学での研究会合について、現地ハワイの共同研究者より新型コロナウィルスの影響で会合延期の申し入れがあったため、出張を中止せざるを得なくなった。改めて研究会合を再調整して、研究を引き続き遂行していきたい。
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Research Products
(1 results)