2016 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化と知識基盤型経済活動の新興国への移転の研究
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16K03656
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
平川 均 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (60199049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知識基盤型経済 / ICT / オフショアリング / 海外直接投資 / 海外進出 / アウトソーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本企業のICT基盤型サービス業務のオフショアリングの変化についてその実態を見るために海外調査をベトナム(2016年11月)とフィリピン(17年2月)において行った。 ベトナムでは、ハイテク産業発展の国家プロジェクトであるホアラック・ハイテクパーク管理委員会を訪れ、同管理委員会よりレクチャーを受けると共に実地見学を合わせて行い、その実態を確認した。また、ベトナムのソフトウェアITサービス協会(VINASA)を訪れ、ベトナムソフトウェア産業の現状に関する説明を受けると共に意見交換を行った。ベトナム最大のICT企業FPTソフトウェアの幹部からも直接に同社のビジネスに関する説明を受けた。その他、日本貿易振興機構ハノイ事務所を訪問し、ベトナム経済及びICT産業に関する説明を受けた。 フィリピンでは、進出後30年を過ぎた日系ソフトウェア企業を訪問し、フィリピンICT産業の現状と同社の発展に関して説明を受けた。またフィリピンのオフショア産業の特徴とその課題に関して意見交換を行った。これらの研究を通じて、東アジアにおける知識基盤型経済への動きと日本企業のオフショアリングについての知見を深めた。 国内ではアジアにおけるICT産業クラスターの最近の動向に関しての資料収集および研究を行い、グローバル化する世界とアジアの経済の中での日本国内における企業活動についても既存の研究成果の収集と研究を深めた。 知識基盤型経済の最大の推進要因であるICTのアジアへの普及に関して第一編者を平川とする著書Inovative ICT Industrial Architecture in East AsiaをSpringer社より刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト第1年目に、日本のICT企業活動が東アジア諸国へと移転している実態についての知見を具体的に得ることができた。具体的には調査対象国でのインタビュー調査においては、責任ある地位の担当者へのインタビューを実現した。また調査ではインタビューだけでなく現地での進捗状況を直接に確認することができた。 変化の激しい動向について、最新の基礎的な情報を入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の基本的条件である経済のグローバリゼーションはとりわけ1980年代後半からアメリカが推進してきたものであるが、2017年1月に誕生したトランプ政権によって基礎的条件の根本的な変化が起きる可能性が強まっている。しかし、その動きは進行中であり、またその対応は試行錯誤の段階にあって、方向性が発揮するまでにはもう暫く時間を要すると思われる。従って、今年度の研究では企業活動の変化に関心をおいて、ICT関連動向を追い、アジアの知識基盤型経済化への現状を追う。本年度においても、昨年度の同様の研究手法をとるとともに、最新の文献収集に努める。
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Causes of Carryover |
予定していた海外でのインタビュー調査で訪問先との再調整が必要となり、期間中の出張ができなくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本年度の未実施の計画を含め、現地調査を行う。調査対象地域としては、フィリピン、ベトナムに加えてカンボジア他での調査を計画する。
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