2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化と知識基盤型経済活動の新興国への移転の研究
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16K03656
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
平川 均 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (60199049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ICT / エコシステム / クラスター / バンガロール / スタートアップ / BPO |
Outline of Annual Research Achievements |
ICTの劇的な発達は近年、AI、 IoT, ロボット化、ビッグデータなどへの関心を急速に高めた。この変化はアジア諸国にも大きな影響を与えている。平成30年度の研究においては前年度に引き続き、そうした技術がアジアに与える影響を、特にその変化への対応で注目されるインドを対象に実態調査を通じて確認した。具体的には、インド・バンガロールへ出張して、バンガロールのICT業界であるインド全国ソフトウェア・サービス企業協会(NASSCOM)、及びインド・スタートアップ企業を訪問し、激変するICT産業への対応について調査を行った。調査は、インドのICT教育で有名な高等研究機関のひとつであるインド情報技術大学(IIIT)の研究者と共同で行った。 バンガロールは、ICT産業クラスターとして世界的に有名なアメリカのシリコンバレーに次ぐ産業クラスターであるが、インドでは、この都市を中心にICTを使ったビジネスの起業を目的にして、産業界、政府が共同して制度的なスタートアップ環境(エコシステム)の構築を精力的に行っている。NASSCOMは、2013年以降、年1000社のエコシステム、10年で1万社の新規起業を目指しているが、同協会はほぼ半期を終え計画を順調に達成している。スタートアップ企業への訪問では、シリコンバレーからの帰国者による起業、またバンガロールでの起業家がシリコンバレーでのビジネスの経験が無くても、シリコンバレーと比較して起業地を選択しようとしていることが確認された。 また、日本のICT企業の進出先として近年注目されているベトナムについては、最新情報を手に入れることができた。インドの調査結果は、中間報告としてインターネット上で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、アジアのICT産業の発展についてインド・バンガロールでの調査を通じて、近年劇的に変化する情報化と知識基盤型経済の発達をインドについて確認することができた。バンガロールではICT企業の起業を促進する制度(スタートアップ・エコシステム)の構築が業界と政府が一体となって行われていること、また、アメリカのICT産業クラスターであるシリコンバレーとの関係についても貴重な示唆を得た。 過去3年間における研究の蓄積と、本年度の調査の成果は、論文あるいは短文の形で公刊を果たすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、来年度が最終年度であることもあり、ICTの発達がアジアに与える影響に関して当面の総括を行うことである。そのため、来年度は、本プロジェクトの開始以降の研究で協力を得た海外の研究者、及び国内の研究者と共に国際会議を開催する予定である。インド、ベトナムからの研究者の招へいを予定している。また、フィリピンについても、出来るだけ調査を通じて実態把握に努める。
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Causes of Carryover |
本年度においては、2つの海外調査を予定していたが、事情によりインドへの調査のみを行った。それに合わせて、来年度が本プロジェクトの最終年度となることもあり、研究計画の修正を行った。修正では本研究機構の研究予算の一定の繰り越し制度を利用して、次年度において海外研究者との共同研究会を開催することにした。繰越金はこの研究会に充当する。研究成果は公刊を予定している。
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Research Products
(6 results)