2019 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化と知識基盤型経済活動の新興国への移転の研究
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16K03656
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
平川 均 神奈川大学, 経済学部, 非常勤講師 (60199049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ICT / オフショアリング / OEM / アジア経済 / 知識基盤型経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代以降の先進国におけるIoT、AI、ロボット化、ビッグデータなどにみられるICTの発達は、経済のグローバル化に伴ってアジアの新興経済に大きな影響を与えてきた。とりわけインドの、そしてフィリピン、中国、ベトナムなどでのICT基盤役務の急激な発展はアジアにおける知識基盤経済の形成の典型的な事例である。しかし、この発展は国により特徴がある。すでにこれまで論文、図書(英文を含む)の形で研究成果を発表してきたが、同時に学会や会議での発表も行ってきた。 本年度においては、主にベトナムにおけるICT産業の調査を行った。調査では、JETROハノイ事務所においてベトナム経済の最新情報を得るとともに、ベトナム政府のハイテク化政策の目玉プロジェクトの1つであるホアラック・ハイテクパークを訪れて発展状況を確認した。また、12月には、インド(インド国際情報大学:IIIT)、フィリピン(フィリピン大学)、ベトナム(貿易大学ハノイ)から本研究プロジェクトの海外研究協力者を招聘し、また日本からは名古屋工業大学の研究者と日本のIT企業の開発部門に参加するエンジニアを招聘し研究会を行った。この研究会は、神奈川大学アジア研究センター主催で公開の国際シンポジウムとして開催した。 研究発表では、3回の国際会議の発表を含んで7回の発表を行った。 本年度の研究調査と研究会開催を通じて、アジアにおいて急速に変化するICT基盤役務とICTサービス産業の現段階を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトはICT基盤役務の発展を通じてアジア諸国が知識基盤経済の発展を果たしている実態を探るものであった。その意味で、インドを中心とするICT産業の発展とスタートアップ企業の育成などの政策を、またベトナムでのICT産業の発展政策を確認してきた。本年度においても、こうした動向を確認することができた。 ただし、発展のアジア経済を取り巻く状況は、昨年以降、大きく変化してきている。特に2018年春以降の米中貿易摩擦による米国の技術移転に対する規制の強化、更に中国の一帯一路政策における情報通信インフラ整備などが直接に米国の覇権に関わる問題として浮上した。こうした新たな課題を念頭に入れる必要が生まれたが、そうした点にも研究成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、フィリピンの知識基盤経済の形成に向けたICT基盤役務の発展の最新状況を確認する計画であったが、海外協力者の都合で日程変更が必要となり、共同研究の場を設けることができなかった。そのため予算の次年度繰り延べを通じて、研究を継続することにしている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外出張が海外研究協力者の公務の都合により変更を余儀なくされたため、本年度中の共同調査及び研究ができなくなったため。次年度において共同研究及び調査を行うことになった。
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