2020 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化と知識基盤型経済活動の新興国への移転の研究
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16K03656
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
平川 均 神奈川大学, 経済学部, 非常勤講師 (60199049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知識基盤経済 / ICT / BPO / 構造転換 / 米中貿易戦争 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は新型コロナウイルス感染症パンデミックにより予定の海外出張による研究が出来ず、当初の研究計画は断念せざるを得なかった。 但し、コロナ感染症パンデミックが人の移動の制限を余儀なくしたことで、世界経済はその構造を劇的に変える契機となった。その意味で、コロナ感染症以前のアジア経済の発展構造に劇的な変化を生むことになった。また、2018年からはアメリカのトランプ前大統領が推し進めた中国との貿易赤字削減を目指す米中貿易戦争が、アジアにおける知識基盤経済化の前提条件に大きな変更を迫るものとなった。本年度の本研究課題の遂行に当たっては、それらの前提条件における大きな変化を正確に捉える必要が生じた。そのため、コロナ感染症危機と米中貿易戦争のアジア経済に与える影響についての研究を、昨年度に引き続き精力的に行った。 研究成果としては、(1)米中貿易戦争がこれまでに構築されたグローバル・サプライチェーン(GSC)あるいはグローバル・バリューチェーン(GVC)に再編を迫っている事実を確認し、新たに生まれつつある変化の方向性を見出すせたこと、(2)新型コロナ感染症危機が社会と経済のデジタル化を強力に推し進め、産業構造の転換を加速させていること、また(3)それがアジアを中心とする新興国に与える影響について、その一端を確認できたことである。また、上記3点の世界的変化に対し、アジア新興国が採る産業高度化への試みについても一定の研究蓄積を達成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、昨年度の研究計画が予定により繰り越されたものであるが、COVID-19パンデミックにより再び延長せざるを得なくなった。但し、本研究の期間途中に始まった米中貿易戦争、さらに感染症パンデミックがともにアジア経済の発展に大きく関わるものであったため、その研究に時間を使うことができた。また、予定の海外出張ができないために、その代替策として海外の研究協力者と定期的な連絡手段を確保し、課題はあるが、研究会をほぼ制度化することができた。その点で、研究はおおむね順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の予定では海外研究協力者との研究会を定期的に開催して、研究会の制度化と研究の推進に努める。この定期的研究会を通じて、海外との密度の濃い情報交換を目指す。 また、COVID-19感染症パンデミックによって遅れた海外共同研究を推進し、本年度を本プロジェクトの最終年度として当面の研究をまとめる。 執筆計画に沿って研究を確実に進め、海外出版社からの学術出版書の契約を履行する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究計画では、海外出張して海外研究協力者てあるフィリピン大学公共政策学部フェルディナンド・C・マキト博士との共同研究を実施する予定であった。しかし、新型コロナ感染症により海外出張が出来ず予算執行できなかった。そのため、次年度への繰り越しすることになった。
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