2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03679
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
木下 信 龍谷大学, 経済学部, 講師 (60396265)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 節電 / 電力・ガス自由化 / コンジョイント分析 / ランダムパラメーターロジットモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月の東日本大震災以降、日本では事故を起こした原子力や地球温暖化の原因にもなる化石燃料によるエネルギーを代替するものとして、再生可能エネルギーの普及が急務となっている。一方で一般家庭による節電や省エネ機器の普及も重要である。このような問題意識から、再生可能エネルギーを選好する家庭は同時に節電し、省エネ機器を購入するかを表明選好法の1つであるコンジョイント分析により明らかにした。その結果、使用するエネルギー源が再生可能エネルギーだと、家庭は節電し、省エネ機器を購入する意思があることが分かった。日本のエネルギー問題である再生可能エネルギーの普及と節電が同時に解決できる可能性があることを示唆する結果になった。この研究を日本経済学会秋季大会(9月9日、青山学院大学)と日本経済政策学会国際大会(11月4日、沖縄自治会館)で発表した。 もう1つ、2016年4月より実施された電力自由化と2017年4月に実施されたガス自由化により、家庭がどのようなエネルギーを供給する事業者を選好するか、あるいは電気とガスの代替が自由化後に進むかどうかをコンジョイント分析により明らかにした。家庭が再生エネルギーを強く選好するとき、そのような家庭は、エネルギー源をすべて再生可能エネルギーで発電する事業者から電気を調達する可能性があり、その結果ガスを使用せず、電気のみでエネルギーを調達する家庭も現れると思われる。分析の結果、事業者やエネルギーの選択には料金の低下を大きく影響し、エネルギー源が再生可能エネルギーであることは選択には影響しなかった。この研究は、日本経済学会秋季大会(9月8、9日、学習院大学)、日本経済政策学会国際大会(10月27、28日、慶応大学)で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を学会報告し、論文を国際ジャーナルに投稿できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、研究実績の概要でも紹介した、電力・ガス自由化の論文を様々なセミナーや学会で発表する予定である。日本経済学会には日本語の論文をエントリーしているが、日本経済政策学会国際大会は英語での発表となるため、英語化する必要がある。エントリー締め切りの7月までは英語化の作業に取り掛かる。セミナーや学会で参加者や討論者の先生から頂いたコメントや修正点を基に、論文を改定し、国際ジャーナル(Energy Economics,Energy Policyなど)に投稿する予定である。 今年度はもう1つwebアンケートを利用した研究を予定している。最終年度であるため、最も関心のある再生可能エネルギーの調査を実施する予定である。電力・ガス自由化に関連した再生可能エネルギーの選好や普及について計量分析する予定である。 電力・ガス自由化の効果を事業者の供給面から評価する研究も予定している。以前、ガスの自由化がガス会社の費用効率性や生産性にどのように影響したかを確率的フロンティアを用いて計測したことがあった。今回はこの延長として、電力会社とガス会社の経営効率性がどのように相互依存して影響しあったかを分析する予定である。これまでは電力自由化とガス自由化を別々に扱い、電力会社とガス会社の分析も別々に行われることが多かったが、これらの自由化を相互に影響し合うはずである。これまで需要側の分析を行ってきたが、供給側からの分析も少し加えてみる予定である。
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Research Products
(5 results)