2016 Fiscal Year Research-status Report
産業連関モデルを用いた原子力発電所立地自治体の経済・財政構造分析
Project/Area Number |
16K03680
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Research Institution | The University of Fukuchiyama |
Principal Investigator |
三好 ゆう 福知山公立大学, 地域経営学部, 准教授 (60614112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 耕平 島根大学, 法文学部, 准教授 (10403445)
渡邉 英俊 島根大学, 法文学部, 准教授 (50580833)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自治体財政 / 原子力発電 / 産業連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原発自治体の経済・財政構造を解明することを目的とする。平成28年度は、島根県松江市ならびに福井県若狭地域を主に、データ収集・整理および現地調査を行った。 1.マクロ分析(量的リサーチ)「経済波及効果・生産誘発効果の解明」:47都道府県における平成23年度の産業連関表が公表時期に大幅なズレがあったものの、1月に全データが入手でき、分析のための準備が整った。「財政依存度の解明」:島根県松江市と福井県おおい町が共に合併自治体であることに着目した。両市町は、原発保有自治体を取り込んだか、非立地自治体を吸収したかという合併の経緯に違いがあるため、決算カードを基にした財政構造の変化と構造的特徴のみならず、誘致に至るまでの経緯について議会議事録を参考に整理していった。その成果は、島根県松江市の状況については島根大学にてシンポジウムが開かれた際に発表され、最終的に「講演会 エネルギーは地域社会の未来を変える」(『山陰研究』第9号別冊、2017年3月)としてまとめられた。福井県おおい町については、現在、論文にまとめているところである。 2.ミクロ分析(質的リサーチ)「地域の実態調査」:先の両市における原発関連施設および町並み調査を行った結果、原発と地域経済との関係が目視レベルでは全く皆無に見えた。しかし宿泊先のレストラン店員やタクシー運転手からの話により、原発関連企業や関係者・雇用者と密接な関わりがあることが分かり、先行研究での「原発効果は建設時の雇用創出のみで一時的である」との結論と実態とに齟齬があることが確認された。 3.分析結果の統合:隔月に1回メンバー会議を行い、データ分析結果からの財政構造の特徴づけ、ならびに現地調査を基にした地域まちづくりの問題抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は次の2点について課題を残したものの、おおむね順調に進展している。 1つはマクロ分析(量的リサーチ)において、47都道府県の産業連関表が自治体の公表時期にバラつきがあり、最終的に1月に全てが揃ったため、当初予定の部門統合作業に入ることができなかった。もう1つはミクロ分析(質的リサーチ)において、地域(松江市、おおい町)の実態調査の際、初の現地入りであるメンバーがいたため、地理的な把握ならびに土地勘を養うことを優先することに努めたことから、ヒアリングやインタビュー調査までには至らなかった。 上記以外は、当初の計画通りに概ね進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の進捗において、研究計画の変更や遂行上の大きな問題は発生しておらず、当初の計画通りに概ね進めることができている。 平成28年度に、隔月1回のメンバー会議が開催されたとともに、分析対象自治体の現地調査をメンバー全員で行うことができたため、互いの進捗度を確認しつつ、その都度、課題点や問題点の共有化がなされた。データ入手がやや遅れたものの、引き続き、計画通りに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
産業連関表の部門統合作業を行うにあたって、産業連関表が全県分そろわなかったため作業を始めることができず、その結果、専門的知識の提供をお願いしていた土居英二氏(静岡大学名誉教授)への研究協力者謝金と研究会出席に付随する旅費等が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
全県分の産業連関表データが入手できたものの、部門統合作業がやや遅れているため、平成29年度は打ち合わせならびにメンバー会議、研究会開催の回数が増えると思われる。これにより次年度使用額は翌年度分と合わせて、研究協力者への謝金ならびに研究会出席時の旅費等として発生する。
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Research Products
(1 results)