2018 Fiscal Year Research-status Report
産業連関モデルを用いた原子力発電所立地自治体の経済・財政構造分析
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16K03680
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Research Institution | The University of Fukuchiyama |
Principal Investigator |
三好 ゆう 福知山公立大学, 地域経営学部, 准教授 (60614112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 耕平 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (10403445)
渡邉 英俊 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (50580833)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 市町村産業連関表 / 地方交付税 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原発自治体の経済・財政構造を解明することを目的とする。平成30年度の研究成果は、次の4点であった。(1)「福井県産業連関表における重大な過ちの発見」:分析対象であった福井県の市町村産業連関表を作成する過程で、福井県の公表データに重大な誤りがあることが本研究チームによって明らかとなった。具体的には、「移輸出額」「移輸入額」における非現実的な数値である。 (2)「製造業における需要額対移輸入額の線形性の発見」:製造業について、京都府と隣接府県の府県内需要額対移輸入額に綺麗な曲線を得ることができた。これは、先行研究(浅利・土居(2013)(2016))で提唱される生産額対移輸出額の線形性利用法を応用し、さらに展開させたものである。 (3)「隣接府県の市町村産業連関表の完成」:福井県若狭地域に隣接し、原発の周辺地域に属する京都府北部5市2町の市町村産業連関表を完成させた。その結果、地域産業の特性として「公務」「教育」の2部門が、7市町すべてで上位にあることが分かった。小規模自治体での地方交付税ならびに交付金のあり方を考察するうえで、重要な材料を得ることができたといえる。 (4)「地方財政の課題抽出」:地方自治体の財政運営の状況は、全体でみると一時期よりも明らかに「健全化」に向かっているものの、自治体の基金総額が高い水準にあることが分かった。2019年に地方交付税は増加に転じているが、実際は下げ止まった程度であり、地方交付税をはじめとする財源保障機能の不安定さは、自治体によるため込みを促し、基金の活用を妨げているといえる。財源保障機能を重視する地方財政制度から、成果主義重視へと変質しつつある中、基金活用も視野に入れて「住民の福祉の増進」という自治体本来の役割を発揮していくことが課題といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、次の点において課題を残したものの、おおむね順調に進展している。(1)分析対象とする道府県の変更、(2)分析対象地域の変更に伴う現地の再調査。
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Strategy for Future Research Activity |
市町村産業連関表の作成において分析対象の変更が生じたものの、今年度の研究によって方法論は概ね確立できたことから、計画通りに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
分析対象都道府県の公表データに誤りがあることが本研究チームによって明らかとなり、作業を中断せざるを得なくなった。基礎データへの信頼が揺らいだことから、分析対象の変更も視野に入れ、再度、作業のやり直しを行っているため。
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Research Products
(2 results)