2016 Fiscal Year Research-status Report
都市の階層性・多様性、地域特化と貨物流動構造の空間統計分析
Project/Area Number |
16K03684
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 秀和 関西学院大学, 商学部, 教授 (30368451)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 交通経済学 / 都市経済学 / 経済地理学 / 貨物流動 / 空間統計 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、貨物流動と都市の階層性・多様性の関係を詳細な貨物流動データから明らかにし、その構造変化要因を空間経済学や経済地理学の枠組みで理論構築を行うことである。具体的には、詳細な荷主の貨物純流動調査である『全国貨物純流動調査(物流センサス)』が長年に渡って行われてきたわが国のデータを中心に、市町村・生活圏レベルで都市階層・構造が貨物流動の構造にどのような影響を与えたのか、また交通ネットワーク整備や物流施設整備が都市構造やその発展にどのような影響を与えたのか、詳細な空間統計分析を用いてその理論化を試みる。さらに類似調査を2時点で行ったフランスの事例を併せて、地理的にも都市機能的にも異なる国・地域との国際比較分析からその差異要因を探る。上述の『物流センサス』は、1970年から2015年までの45年間(5年毎、計10回)に渡って行われている。特に、1995年調査からは、輸送コストと輸送時間に関する詳細なデータが利用可能である。
平成28年度は、『物流センサス』から品目別・業種別の発着貨物量とその輸送コスト、さらに都市階層の空間統計分析のための人口・産業別就業者数に関するデータベースの構築を進めた。予備的調査として、公表されている最新2010年調査と『貨物地域流動調査』(年間データ)を用いて、日本の都市階層と輸送コストの関係性分析を行った。その結果、単一の都市階層内での貨物輸送の場合、都市規模と域内輸送コストに正の関係があること、また異なる都市階層間での貨物輸送の場合、階層差異が大きい程、輸送コスト(いわゆる上りと下りの貨物輸送で)の差異が大きくなるなど、興味深い示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的調査ではあるが、一定程度の分析示唆が得られた。また本成果を2017年5月の国際学会(PRSCO2017)で報告予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースの構築を進めると共に、時系列データ(1995年以降で可能)を用いた計量分析を行うことにより追加で必要とされるデータの確認・収集を行う。また、国際学術雑誌への投稿準備(特に、経済地理学や空間経済学における研究事例との関連も検討)も並行して進める。なお、最新の2015年調査結果が2017年度中に公表される予定であるため、早急にデータを入手し、データベースの拡張を行いたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度前半は、在外研究の機会を得、フランス・パリで共同研究を行った。そのため、当初予定した外国旅費を一部必要としなかったこと、さらに海外のため消耗品等の購入を控えたことなどもあり、未使用額が生じた。ただし、それ以外については、大きな変更なく研究を実施した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、既に4つの国際学会報告を予定しており、出張旅費に充てることとする。
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Research Products
(10 results)