2018 Fiscal Year Research-status Report
産学連携が企業及び大学の研究生産性に与える影響の実証研究
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16K03692
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
枝村 一磨 学習院大学, 国際社会科学部, 研究員 (20599930)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産学連携 / 研究生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、企業と大学が連携して研究を行う「産学連携」が企業及び大学の研究生産性に与える影響を、論文データと特許データを用いて研究者の研究履歴や人的ネットワーク等の特性を考慮した上で、定量的に分析することである。 昨年度までは、産学連携が企業や大学の研究生産性に与える影響を分析する上で参考となる先行研究のレビューや、論文データ及び特許データを統計分析が可能となるように整理し、その2つのデータを接合して分析用データを作成した。論文の著者の所属先情報や、特許の発明者情報を活用し、企業の研究者と大学の研究者が共同で執筆している論文の件数の推移や、共同で発明している特許件数の推移を把握した。また、作成した分析用データを用いて分析を行うためのモデルを構築し、適切に分析を行うための手法を検討しつつ、必要に応じて統計分析を試行した。 昨年度までの研究実績を踏まえて、2018年度は分析用データを用いて統計分析を実施した。具体的には、論文データと特許データを接合したデータに、企業財務データを組合せ、1996年から2013年を分析期間として、統計分析を行った。その結果、企業の研究者と大学の研究者が共同で執筆した論文が多いほど、企業の特許出願活動が高まる可能性があることが統計的に示唆された。この傾向は、企業規模や産業特性、トレンドを考慮してもほとんどかわらない。企業の研究者と大学の研究者が共同で論文を執筆することを産学連携の一形態だとすれば、産学連携が企業の特許出願活動を高めるという本研究の結果は、企業の研究開発活動を促進させるために、産学連携をサポートする科学技術イノベーション政策が有効である可能性を示唆しており、政策立案を検討する上で意義深い。また、実証的な研究の蓄積が求められている現在において、本研究の結果は重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進める上で、追加的な統計分析を行う必要が生じた。そのため、研究成果をまとめるのに、当初の予定より時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度までに得られた研究成果を整理するとともに、追加的な統計分析を行って、とりまとめを行う。追加的な統計分析をより精緻に行うため、ワークショップや学会に参加し、参加者とディスカッションを行う。
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Causes of Carryover |
使用計画を提出した当初、参加予定の学会の開催地は未定であったため、旅費を想定していた。使用計画を決定した後、学会が東京で開催されることとなったため、次年度使用額が生じた。次年度、本研究について多面的なコメントを得るため、海外の研究者が開催するワークショップで研究成果を新たに発表することとなった。これに、今年度生じた次年度使用額を用いる。これによって、分析結果の解釈や、統計分析の幅が広がることが期待される
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Research Products
(6 results)