2017 Fiscal Year Research-status Report
薬価制度のミクロ定量的な経済分析―新薬開発と医療保険財政健全化の両立を目指して
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16K03700
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| Research Institution | Nagoya City University |
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Principal Investigator |
和久津 尚彦 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (80638130)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 薬価制度 / 研究開発インセンティブ / 医療保険財政 / リスク回避 / シミュレーション |
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| Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】 本研究は、企業の研究開発インセンティブの低下を抑えつつ、医療保険財政負担の軽減を図る薬価制度のあり方を、複数の視点から検討するものである。
今年度の平成29年度は次の課題を中心に研究をすすめた。薬価の不透明性が企業の研究開発インセンティブに及ぼす影響に焦点を当て、薬価算定リスクが企業の研究開発インセンティブに及ぼす影響の大きさを分析する。また、そのリスク削減によって、企業の研究開発インセンティブを損なうことなく、どの程度、医療保険税制負担を軽減できるのかを分析する。
分析は、主として、実際のデータに基づく薬価制度のミクロレベルの長期的なシミュレーション分析に依った。分析には、製薬企業のリスク回避度に関するデータが必要であったが、既存文献からは得られなかったため、国内の内資系ならびに外資系の製薬企業を対象に、独自のヒアリング調査を実施し、基礎データを収集した。
研究成果の一部は、国際学会を含む複数の学会で発表した。また、学術論文としてもまとめ、査読誌に掲載が承認された。
【意義・重要性】 医薬品の薬価や売上高が製薬企業の研究開発に正の影響を与えることは既に多くの研究で示されている。その一方で、薬価や売上高の水準だけでなく、将来の薬価推移の不確実性が企業の研究開発インセンティブにどの程度影響を及ぼすかについての研究蓄積はなく、本研究の意義は大きい。独自に行ったヒアリング調査結果それ自体も、公表データを補完する重要な資料である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の平成29年度に計画していた研究課題は以下のものであった。①薬価推移の不確実性（分散）が企業の研究開発インセンティブに及ぼす影響の大きさをシミュレーションから明らかにする。また、この視点から、研究開発インセンティブの低下を抑えつつ、医療保険財政負担の軽減を図る薬価制度のあり方を検討する。②国内の主要医薬品のデータから新薬のライフサイクルに渡る平均的な薬価と売上高の推移を推定する。
これに対して、今年度、①に関しては、研究を計画どおり遂行できた。また、研究結果の一部が研究論文として査読誌に掲載が承認された点は、計画以上の進展があった。②に関しては、既存のデータで分析を進め、来年度、新規データを追加し更なる分析を進める予定である。以上のように、研究は概ね計画通り順調に進んでいる。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更はなく、今後も概ね研究計画に則って進めていく予定である。
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| Causes of Carryover |
（理由）昨年度、当初予定していた商用データの購入より、製薬企業に対する独自のヒアリング調査の実施の方が、優先度が高いと判断し、研究計画を一部変更した。今年度はその変更した研究計画の通りヒアリング調査を実施したが、延期していた商用データの購入は残額が不足していたため来年度に見送った。そのための残額分が、次年度使用額として残った。
（使用計画）当初予定していた商用データの購入費にあてる予定である。
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