2022 Fiscal Year Annual Research Report
Microeconomic and Quantitative Analysis of the National Heath Insurance Drug Price System in Japan
Project/Area Number |
16K03700
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
和久津 尚彦 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (80638130)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 薬価制度 / 研究開発インセンティブ / 医療保険財政 / ドラッグ・ロス / リスク / リスク回避度 |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】 本研究は、医療保険財政・患者負担を軽減しつつ、企業の研究開発インセンティブの維持・向上を図る薬価制度のあり方を、複数の視点から検討するものである。令和4年度は前年度に続き次のテーマの研究をすすめた。①日本におけるドラッグ・ロスの実証分析。欧米では承認されたが日本で未承認の医薬品に関するデータセットを公表データから構築し、ドラッグ・ロスの現状に関する分析を行った。②リスク低減が製薬企業の研究開発インセンティブに及ぼす影響の分析。製薬企業が新薬の製造販売承認以降、医薬品市場で直面するリスクを低減することで、製薬企業の研究開発インセンティブはどの程度向上し得るのか。申請者は本研究の過去年度において、製薬企業にヒアリング調査を行い、リスク回避度などに関するシミュレーション分析を行った。その結果を論文にまとめ、海外査読誌に投稿した。 【意義・重要性】 ①ドラッグ・ロスはドラッグ・ラグと同様かそれ以上に患者の医薬品アクセスを阻害する社会的にも重要なテーマである。近年注目されはじめた社会問題であるが、その現状を実証的に分析した研究はほとんどない。②製薬企業は製造販売承認以降、医薬品市場で様々なリスクに直面するが、それらのリスク低減が研究開発インセンティブに及ぼす影響については、理論的な分析が多く、定量的な分析はこれまでなかった。薬価に頼らない研究開発インセンティブの維持・向上は社会的にも重要なテーマである。社会的重要性と研究蓄積において①と②に関する本研究の意義は大きい。
|