2016 Fiscal Year Research-status Report
財源配分スキームによる大学間競争と機能別分化に関する理論及び実証研究
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16K03702
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡邉 聡 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (90344845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 保海 広島大学, 教育室教育部教育支援グループ, 研究員 (20531932)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育経済学 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの安部・渡邉(2012a)による数理モデル分析結果から、競争的資金配分スキームは機能別分化の目的と逆行するものであることが理論的に証明されており、また学際性の追求と機能別分化への取り組みも相反するものであることが実証済みである(2012b)。平成28年度には、安部・渡邉による独自の数理モデルをベースとして、アメリカの高等教育機関データであるIntegrated Postsecondary Education Data System(IPEDS)を用いたデータ検証を試みている。試行的に実施したデータ分析とその新たな研究成果については、英文原稿として取りまとめ、香港大学及び南カリフォルニア大学との共催により、2016年6月10日(金)~6月11日(土)に香港大学で開催された国際公共政策学会(International Public Policy Association:IPPA)において、"Mission Creep among Public University Campuses?: An Analysis of Resource Allocation with an Application of the Allocation Parity Index"と題して、"Higher Education Governance: Theorizing Convergence and Diversity"をテーマとするパネルセッションでの口頭発表をおこなった。また2017年3月には、マレーシアで新たな研究総合大学としての教育研究ミッションを展開する、オーストラリアにメインキャンパスを持つモナシュ大学のマレーシア校を訪問し、School of Businessの経済・経営学者との研究交流をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究活動内容として、当初の予定どおり、主にアメリカにおける文献調査と独自の数理モデルの精緻化を進めることができた。また、年度初めに試行的なデータ解析を進めた結果、平成29年度に実施する予定であった計量分析についてもある程度着手することができた。 試行的な計量分析では、安部・渡邉による"Allocation Parity Index (API)"をアメリカの高等教育機関データであるIntegrated Postsecondary Education Data Systemの機関レベルデータに応用することにより、カリフォルニア大学(University of California)システムとカリフォルニア州立大学(California State University)システム、及びニューヨーク州立大学(State University of New York)システムとニューヨーク市立大学(City University of New York)システムにおける財源配分と機能別分化の検証をおこなっている。 平成29年度に予定されていた中間成果の学会発表については、平成28年度に試行的におこなった分析結果を英文原稿に取りまとめ、既に香港大学で開催された国際公共政策学会において共同発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を基盤として、今後は更なる理論展開とモデルの精緻化を図り、教育・労働経済学者、高等教育研究者との研究交流、及び計量分析・シミュレーション分析による理論モデルの多角的且つ厳密な検証と、将来的な高等教育政策提言への可能性を探索する。平成29年度については、平成28年度中に取りまとめ国際学会で発表した英文原稿の完成に向けて、分析と執筆を継続する。今年度の目標としては、この英文原稿をカリフォルニア大学バークレー校高等教育研究センター(公共政策大学院)のリサーチ・ペーパーシリーズとして投稿し公刊を目指す。英文原稿については、既に"Mission Creep among Public University Campuses?: An Analysis of Resource Allocation with an Application of the Allocation Parity Index"と題して、投稿準備を整えつつある。 今後は、この英文原稿に対する経済学者及び高等教育研究者等からのコメント、フィードバックを取り入れ、さらに磨きをかけて平成30年度中の国際的な学術ジャーナル投稿に向けて準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、独自の数理モデルの精緻化と試行的な実証分析を実施したが、実証分析を行なうためのデータについては、Integrated Postsecondary Education Data System (IPEDS)が、アメリカ連邦教育省教育統計局(National Center for Education Statistics)から無償で提供されたことが理由としてあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、これまでの研究成果(平成28年度中に国際学会発表をおこなった英文原稿)を、カリフォルニア大学バークレー校高等教育研究センター(公共政策大学院)が刊行するResearch & Occasional Paper Seriesに投稿し、公刊を目指している。平成29年度に予定している国内外研究者との学術研究交流、研究発表、投稿費に充当し、国内外に対する中間研究成果の公開と、さらなる研究内容の研鑚に向けて計画的且つ有効に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)