2016 Fiscal Year Research-status Report
成果主義賃金のインセンティブ効果と労働者の行動経済学的反応
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16K03706
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 聰一 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60262838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 隆志 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (60437283)
菊谷 達弥 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (80183789)
参鍋 篤司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (70456763)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 成果主義 / アンカリング・ヴィネット |
Outline of Annual Research Achievements |
成果主義賃金等の人事制度の変更は、労働者の仕事に対する満足度を変化させる可能性が高い。その一方で、従来のアンケート調査を用いた実証研究では、仕事満足度等の主観的な変数は、現時点での自己の環境の評価に主に用いられており、将来に関する見込みや、予想が取り入れられているわけではない。そこで本研究では新しい手法であるアンカリング・ヴィネットを利用したアンケート調査を実施し、より精密に労働者の満足度等を把握することを目指している。 そのためには、この研究に参加する研究者がそれぞれ当該手法について精通している必要がある。そこで平成28年度は、アンカリング・ヴィネットについての既存研究を参加研究者全員で共有するために、関連の文献を精読することにした。慶應義塾大学および明治学院大学において研究会を開催し、基本的な方法論の把握に努めた。それと同時に、ワークライフバランス施策の賃金プレミアムなどについての人事関連の専門文献を検討した。 合わせて、今後のアンケート調査方針等について意見交換を行った。その結果、メンタルヘルス関連の既存のヴィネットを和訳し、海外における既存の調査結果と日本における結果とを比較するという新しい方針や、日本における長時間労働が何によって補償されているのかといった観点からの分析が重要であるという認識で一致した。このように、平成28年度の研究は、既存研究の吟味とディスカッションが中心であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、アンケートのパイロット調査を行うことにしていたが、アンカリング・ヴィネットの手法について技術的な理解を深めておく必要があったことから、パイロット調査を次年度に回すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の前半をめどに、ヴィネット分析のためのパイロット調査を行う。具体的には、成果主義が導入されている企業の労働者に対して、労働者の現状についての調査およびコンジョイント分析のためのヴィネット調査を行う。パイロット調査の結果が得られ次第、計量分析にとりかかる。推定手法としては条件付ロジット推定等を用いる予定である。それに引き続いてパイロット調査の分析結果とそれに対するコメントに基づいて、本調査の項目設計を行い、ウェブアンケートの調査を実施する。
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Causes of Carryover |
新しい調査手法に習熟するために時間がかかったために、当初予定していたパイロット調査を平成29年度に実施することに変更したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度にパイロット調査を行うことにしたので、次年度使用額はそれに充当する。
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