2017 Fiscal Year Research-status Report
ゼロ金利下での政府支出は有用か-DSGEモデルを用いた理論分析と日米の実証分析
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16K03707
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
江口 允崇 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (40600507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 衛士 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20406713)
稲垣 一之 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70508233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国債のデフォルト / 最適財政政策 / 最適金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年に引き続き、デフォルトを考慮した場合の財政政策の分析を行った。まず、国債のデフォルトを導入した小国開放経済型のDSGEモデルを構築し、インドネシアのデータを用いて推定した。その結果、インドネシアが対外債務のデフォルトをした1998~ 2002年において、モデルから予測されるデフォルト率も大きく上昇しており、モデルが現実を説明する上で一定の妥当性があることが示された。この成果を、2017年度日本応用経済学会春季大会(久留米大学)にて報告した。 次に、国債のデフォルトを導入したニューケインジアン型のDSGEモデルにおける最適財政・金融政策について考察した。特に、昨今日本において再び脚光を浴びている「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of Price Level : FTPL)」との関連性を重視し、デフォルトを考慮する場合としない場合の最適政策の違いについて分析を行った。結果として、デフォルトを考慮した場合、金融政策はよりPassive(物価変動に対して金利を強く反応させる)に、財政政策はよりactive(政府債務の変動に対して税を弱く反応させる)に運営されるべきであることが示された。この結果を、Pan Pacific Conference in Economic Research (Hawaii Tokai International College)にて報告した。 また、昨年度に執筆したOkano, Eiji. and Kazuyuki. Inagaki “Revisiting the Fiscal Theory of Sovereign Risk from a DSGE Viewpoint,” の内容をさらにブラッシュアップし、を国際学会にて計7回報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国債のデフォルトを導入したモデルによる研究は順調に進んでいる一方、ゼロ金利制約は技術的な問題もあり導入できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は元来ゼロ金利下での最適財政政策について分析しようとするものであったが、ゼロ金利制約とデフォルトのリスクを両方モデルに導入することは現時点では難しいので、まずはデフォルトのリスクが存在する場合の望ましい財政政策について焦点を絞り、成果を出すことに集中したい。
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Causes of Carryover |
研究計画にやや遅れが出たため。
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