2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03711
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
原 ひろみ 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (50605970)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人的資本 / 職業能力開発 / 自己啓発 / 男女間格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
離職者訓練の効果に関する分析に関しては、昨年度の分析ワークのフレームワークの検討からRDDではなくPropensity score matching 法を用いることが妥当という結論に達したことをうけて、今年度は、より大きいサンプルサイズを確保することができる『就業構造基本調査』を用いた分析を開始した。データクリーニングを行い分析データを作成し、就業状況、賃金、雇用形態等の基本的な成果指標を作成し、記述統計量を算出して傾向を把握するとともに、Propensity score matching 法を用いた推定を行ったところ、公共職業訓練には統計的に有意にプラスの影響がある可能性は低いことが分かった。しかし、結論を出すには、先行研究で示されているようにDDでmatching 法を用いた分析も必要である。この分析手法を直接的に適用することはできないので、代替的な手段がないかをさらに検討し引き続き分析を行う予定である。 さらにこの分析の一環として、自発的な職業訓練の効果についての分析を労働者個票データを用いて行った。その成果を論文に取りまとめ、国際学術雑誌に投稿したところである。 人的資本投資機会の男女間格差に関する分析に関しては、『能力開発基本調査』の個票を用いて分析をした。計量分析の結果、様々な属性をコントロールしても企業内訓練において男女間格差が大きいことが示されてはいるものの、新たな知見・メカニズムを見出すにはさらなる分析・検討が必要と考えられる。 しかし、同時に進めていた最低賃金の引上げが職業能力開発に影響を与える分析において、DDD法を用いた分析を行い、男性と女性で最低賃金引上げによって職業能力開発が受ける影響が異なることを明らかにし、論文にとりまとめ、国際学術雑誌に査読を受けたうえで掲載されたことから、この分析に関しては一定の成果を達成することができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離職者訓練の効果に関する分析に関しては、『就業構造基本調査』を用いた分析はさらなる検討が必要であるが、この分析の一環として行った自発的な職業訓練の効果についての分析に関しては論文に取りまとめ、学術雑誌に投稿することができた。また、人的資本投資機会の男女間格差に関する分析に関しても、『能力開発基本調査』を用いた分析についてはさらなる分析が必要であるが、その一環として行った最低賃金と職業能力開発の関係についての論文が国際学術雑誌に掲載された。よって、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
離職者訓練の効果に関する分析に関しては、結論を出すには、Heckman, Ichimura, and Todd (1997) で示されているようにDDでPropensity score matching 法を用いた分析も必要である。『就業構造基本調査』ではこの分析手法を直接的に適用することはできないので、代替的な手段がないかをさらに検討し、引き続き分析を行う予定である。人的資本投資機会の男女間格差に関する分析に関しては、計量分析の結果、様々な属性をコントロールしても企業内訓練において男女間格差が大きいことが示され一定の成果は得られているものの、新たな知見・メカニズムを見出すにはさらなる分析・検討が必要と考えられる。追加的な分析の実施を検討するとともに、先行研究のレビューを行い、本分析をさらに発展させられるかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
離職者訓練の効果に関する分析を行い、その結果を国際学会において発表する予定であったが、先行研究のレビューや研究者からのコメントをうけて追加分析が必要であることが判明したため、計画を変更し、追加分析を行うこととしたため、未使用額が生じた。 追加分析と国際学会での発表を次年度以降に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。また、本分析の一環として行った自発的な職業訓練の効果についての分析に関しても、国際学術誌に採択されるまで、さらなる改訂が必要になると考えられる。よって、関連分野の研究者からコメントをもらうために国際学会等で発表する必要があるため、その経費にも充てることとする。
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Research Products
(1 results)