2016 Fiscal Year Research-status Report
主観的評価理論の企業内部人事データに基づく実証分析
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16K03717
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
高橋 新吾 国際大学, 国際関係学研究科, 教授(移行) (70445899)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 主観評価 / マルチタスク問題 / 評価バイアス / 離職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)主観評価がマルチタスクインセンティブを付与するために使われているか、及び(2)主観評価におけるバイアスが、離職などのコストをもたらすかに関する研究を行った。実証分析は、日本有数の自動車販売会社の人事データ、販売実績データ、及び課長―販売員の組み合わせデータをすべて接合することにより行った。目的(1)に関しては、新人比率をメンタリングの重要度を表す指標としてもちい、さらに法人率を長期顧客関係の重要度を表す指標として用い、これらの指標が高い場合、評価をつける際の売り上げに付与されるウエイトが減ることを示した。これは、一般的なマルチタスク・プリンシパル―エージェントモデルの理論的含蓄と一致する。目的の(2)に関しては、評価推定式の残差をバイアスの指標として用い、残差が負の場合、離職の確率が高く、評価に対する満足度が低いことを示唆した。これは、主観評価のバイアスがモラルを低下させ、離職を増加させているという仮説と一致する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要にのべた論文を執筆し、Singapore Management Universityにて論文を発表した。これらのコメントを基に、論文を修正し、海外学術誌に論文を投稿したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方針に関しては、以下の2つのタスクにフォーカスする。まず第一であるが、論文を学術誌に投稿した。この投稿に対する返答が数か月後に帰ってくる。帰ってきた後、もしRevise and resubmitであったとしたら、レフェリーのコメントに答えて、いち早く論文を学術誌にアクセプトさせることを目標とする。もし、掲載不可になったとしたら、その場合もレフェリーのコメントを反映させていち早く再投稿へと持っていく。第二であるが、上に述べた論文から派生した新たなトピックに関して論文を書き始める。その新たなトピックとは、店長が販売員に与える影響の実証研究である。我々のデータの強みは、店長―販売員の組み合わせが分かることである。さらに、店長はある程度の年数いると、配属が変わるため、店長固定効果が推定可能である。よって、この論文のための推定、及び執筆を進める。
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Causes of Carryover |
現在のコンピュータ、時々問題が起こるようになっているため、コンピューターを購入する予定であったが、これを引き延ばした。。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
様々な推定に対応するように、速度の速いコンピューターを購入する予定である。
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Research Products
(1 results)