2018 Fiscal Year Research-status Report
労働者の異質性によって生じる富と所得の不平等に関するマクロ動学分析
Project/Area Number |
16K03724
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大野 隆 同志社大学, 経済学部, 教授 (40388806)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 生産性格差 / 有効需要 / 富と所得の不平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、労働者の異質性によって生じる富と所得の不平等に関するマクロ動学分析に焦点を与えた研究である。今年度は、前年度に引き続き以下のような研究を行った。 生産性格差が資産の非対称性を明らかにしたが、それが労働分配率に与える影響を考察することに注力した。なぜなら、近年、Autorなどにより、スーパースター企業が労働分配率を低下させる要因であることに注目されているからである。その点に関して、政府の財政支出とスーパースター企業の関係性が、労働分配率に与える影響を考察した。その研究は、研究論文として査読付き雑誌に投稿している。 この研究に関連し、The Keynesian stability condition with free entry in the Kaleckian model として、カレツキアンモデルにおける考察を行った。International Conference on Economic Theory and Policy (明治大学:2018年9月)、KMSG(Kobe macro Study Group)のワークショップ(北海道大学)にて報告を行った。 また、景気循環の変動についての概略を、2018年5月に出版された「されどマルクス」(日本評論社)に「景気循環論」と して所収された。 それとともにThe 8th Summer School on Analytical Political Economyを運営し、最先端の専門知識の収拾とともに、「ポストケインズ派経済学」を担当し、景気循環に関するサーベイを発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外での学会報告に間に合わなかった。その点は次年度の前期中に論文を作成し、投稿するとともに、学会報告を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究を更に進め、技術進歩による生産性格差が給与格差と資産格差にもたらす影響について考察を行う。また今年度は学会報告や研究会報告を積極的に行うとともに査読付き雑誌への投稿を目指す。
|
Causes of Carryover |
学会報告などの旅費が少なかった。今年度は、学会開催、論文投稿などを行い、専門的な知見を得る予定である。
|
Research Products
(3 results)