2023 Fiscal Year Annual Research Report
Macroeconomic analysis of wealth and income inequality due to worker heterogeneity
Project/Area Number |
16K03724
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大野 隆 同志社大学, 経済学部, 教授 (40388806)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不安定性 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、労働者の異質性が資産格差や所得格差に与える影響とともに、マクロの安定性に与える影響を考察することを目的とした研究である。労働者の異質性は、生産性が低いと採算が取れないために生産(企業)ができない。そのため、労働者にならざる得ない。他方、生産性が高い労働者は企業経営の採算が取れることを明らかにし、企業を経営できる人と、企業を経営できずに労働者とならざる得ない人に分けることを明らかにした。それは、企業の独占度などを規定する。 そのような労働者と企業(資本家)の二極化は、マルクス経済学やポストケインズ派経済学の階級を内発的に説明したと解釈することができる。そのような前提のもと、ポストケインズ派経済学モデルのフレームワークを用いて、経済の安定性などに与える影響について考察を行った。 今年度は、The race between real wage and automation in the Post-Keynesian model(小暮憲吾氏との共同論文)の精緻化を行った。生産性格差を、企業家と労働者に分類し、より説得的な論文とした。具体的には、最適化行動の定義づけを改めた。一般的に、最適化行動とは、何らかの目的関数を最大(最小)にすることを示している。しかしながら、それは、そのような水準の目的を達成するために何らかの変数を目標にまで操作することと解釈することも可能である。そのような行動を最適化行動をするならば、何らかの目的を達成するために、ある変数を操作することも最適化行動ということができる。この視点を明確にすることで、ポストケインズ派経済学で、目標稼働率などを達成するために資本蓄積率や技術進歩水準が変化することを最適化行動の一種と位置付けた。本研究論文は、現在投稿準備中である。
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