2017 Fiscal Year Research-status Report
家計の労働供給を考慮した最適な税制設計のマイクロ・シミュレーション分析
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16K03728
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
岡村 和明 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (70325398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八塩 裕之 京都産業大学, 経済学部, 教授 (30460661)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 女性の労働供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
その重要性にもかかわらず、女性の働き方に直接影響を及ぼす税制が労働供給に及ぼす効果を定量的に推定した研究は驚くほど少ない。また最近の定量分析は推定方法の高度化の代償として伝統的な理論モデルに基づく解釈を難しくしている。現在我々が進めている研究は、従来の理論モデルに基づく解釈が容易な形での検証を最新のデータを用いて行うものであり、今後、他の研究者による同様の研究を促していく上で貴重な到達点になると期待される。 今年度は、配偶者控除制度が女性の労働供給に及ぼす効果に関する代表的な先行研究を参考にデータセットを作成し、推定モデルおよび推定プログラムを書くところまで達成した。税制が労働供給に及ぼす効果に関する従来の研究の多くは、使用する上での制約が強い政府統計のマイクロ・データを中心に行われてきたが、今回の我々の研究は比較的制約の弱いパネル・データ「消費生活に関するパネル調査」を使用している点に特徴がある。また我々が参考にした代表的な先行研究においては推定プログラムが多くの研究者にとってはなじみの薄いプログラム言語(Fortran)で書かれているのに対し、我々は同じプログラムを多くの研究者がその扱いに習熟しているソフトウェア(STATA)で作成した。作業を進めていく過程では、代表的な先行研究の著者とミーティングを行い、我々の現在の作業内容および今後の進め方について意見交換を行った。これにより、来年度以降の研究の道筋が整ったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は分析内容の確定およびデータセットの作成を目標に作業を進めたものの、思うように進まず「やや遅れている」との判断に至った。しかしながら、本年度は代表的な先行研究を定め、データの利用申請およびデータセットの作成も迅速に行うことが出来、また推定プログラムの設計までこぎ着けた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず設計した推定プログラムを使って推定作業を行う。推定作業にはプログラム上発生するエラー等への対処を伴うため、代表的な先行研究の著者との意見交換を継続的に行いつつ、地道に推定作業・シミュレーションを行っていく。その上で、なるべく早い時期にディスカッション・ペーパーにまとめ、学会・コンファレンスに投稿したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本来打ち合わせ旅費として使用するはずのものが学内業務との関係で延期することになり、年度内に使用できなかったことにある。打ち合わせについては可能な限り電子メールで対処し、残りの検討事項については次年度の打ち合わせで対処することとなった。発生した次年度使用額は前述の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)