2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03732
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
丸茂 幸平 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90596959)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非正規分布 / 同時分布関数 / 条件付分布関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては,電力需要と価格の関係の記述が重要であるが,ここで必要な技術の中心となるのが,複数の非正規分布の確率変数の同時分布と条件付確率分布の推定である.当該年度は,エルミート多項式系による分布の近似方法を多変量の同時分布の近似に拡張する技術を開発し,それをまとめた論文を学術誌 Statistics and Economics 誌に投稿した. より具体的には,以下のとおりである.従来のnaiveなエルミート展開では十分な近似精度が得られないため,最適化にsmoothness 指標を導入したものにさらにシュリンケージ推定量も併せて利用することで十分と考えられる近似精度を得る方法を開発した. さらに,それを条件付周辺分布の表現に利用できることを示し,条件付 Value at Risk の形で,リスク指標の算出に応用可能なことを明らかにした.この指標は,市場が大きく変動するなど通常とは異なる場合のリスク量を表現するものとして,近年注目されているものである. 応用上は,電力市場が極端に変動する,いわゆる価格の「棘」が記述できることが重要である.予備的に,金融市場の極端な変動時である金融危機時のデータに当てはめて,同時分布を推定することが可能であることを確認した.さらに,金利や株式市場インデックス,為替レートなど各種指標で条件付けをした,条件付きの資産収益率分布が近似できることも確認し,実際のリスク管理への応用が展望できることを確認した. これらの結果を論文 A Non-parametric Method for Calculating Conditional Stressed Value at Risk にまとめ,Statistics and Economics 誌 (ISSN 2500-3925)に投稿し,採択・掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において,上記の核心となる技術について,実際のデータへの応用の目途が立った.これは,当初の計画に沿ったものである.
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Strategy for Future Research Activity |
既存の市場リスク管理手法を電力市場に応用するための技術を開発することを最終的な目標とする.まずはその準備として,現在までに開発した技術を,さらに広範なデータへ応用し,頑健性を高めるためのパラメータ設定方法を検討する. また,論文中でも指摘したが,本研究で利用している方法は多項式を利用しているため,確率密度関数の近似値が負になってしまうことを排除できない.ただし,展開の次数を無限大にした極限においては,非負の確率密度が得られるものと思われる.理論的な面から,本研究で利用している方法の漸近的な性質を明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
以下の3つの理由による: 1.連携をしているSunCorp社のWong博士の都合により,2017年8月の出張の期間が当初予定よりも短縮されたためその分の費用に余剰が生じた.(余剰分は,2018年度の出張に充当する予定) 2.作業用のノートPCが予定していたよりも安価に入手できたため. 3.計算で利用しているMatlabのアップデートを予定していたが,2019年度に行うよう予定を変更したため.
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Research Products
(1 results)