2019 Fiscal Year Research-status Report
先進国の金融政策正常化により新興国において発生するリスクに対するマクロ経済政策
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16K03741
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北野 重人 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00362260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際マクロ経済学 / 国際金融 / 国際資本移動 / 新興国 / 資本規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
新興国への資本流入に対応する政策について、金融政策等の既存の政策では不十分であるという認識がIMFを含めて一般的に共有されつつあり、これまでのオーソドックな政策ではない、資本規制やマクロプルーデンス政策といった、新たな政策対応が求められている。こうしたことを背景に、本研究は、資本規制やマクロプルーデンス政策の理論研究のフロンティアを拡大する分析を行っている。
昨年度の「今後の研究の推進方策」に記述したように、特に本年度は、本プロジェクトの最終年度ということであり、個々の政策に関する研究に加えて、複数の政策についての比較やポリシーミックスの問題を検討することを中心に行ってきた。
具体的には、新興国7ヵ国のデータから借入金利、預金金利等の各国のデータに基づいて、モデル中の海外借入における金融フリクションを示すパラメータについてカリブレーションを行い、動学的一般均衡(Dynamic Stochastic General Equilibrium)モデルに、バランスシート摩擦のある銀行部門を導入して、資本規制政策とマクロプルーデンス政策を比較する研究を行った。厚生改善効果について分析した結果、対外的な金融フリクションが高い場合、資本規制政策の方がマクロプルーデンス政策よりも厚生が高い(一方、対外的な金融フリクションが低い場合は、その逆になる)ことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一つを国際学術雑誌に公刊することができたため、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本来は、昨年度が本プロジェクトの最終年度であったが、社会情勢により研究成果の報告が一部できない状況で年度を終えることになった。このため今年度は、これまでの研究についての成果報告を中心に行う予定である。
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Causes of Carryover |
本来は、2019年度が本プロジェクトの最終年度であったが、社会情勢により研究成果の報告が一部できない状況で、年度を終えることになったため。
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Research Products
(8 results)