2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K03753
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鶴田 大輔 日本大学, 経済学部, 教授 (40422589)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 企業金融 / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は中小企業の運転資本と企業パフォーマンスの関係および、マクロショック時における過剰運転資本の解消等について、大規模な企業ベースのデータを用いて明らかにすることである。運転資本の増加は企業の売上促進による正の効果とデフォルト確率上昇による負の効果を持つ。これらの効果に注目しつつ、運転資本と企業パフォーマンスの関係を明らかにする。また、大規模なマクロショック時には、不良在庫の増加や買入債務の減少により発生した過剰な運転資本が中小企業の資金繰りに大きな影響を与える。本研究はその解消に費やす期間および、企業パフォーマンスとの関係を明らかにする。政策的に中小企業の運転資本増加に対する手厚い資金繰り対策が講じられていることから、本研究は豊富な政策的インプリケーション導くと考えられる。 平成30年度の主な研究の概要は以下の通りである。第一に、運転資本の増加が中小企業の売上促進、デフォルト確率上昇、企業パフォーマンスの変化にどのような影響を及ぼすのかを分析し、必要な改定を行い論文を投稿した。この論文は査読付き学術雑誌Asia-Pacific Journal of Financial Studiesに掲載が受理され公表された。第二に、マクロショック時の過剰運転資本の解消に関する論文を投稿し、査読付き学術雑誌Japan and the World Economyに論文の掲載が受理され公表された。第三に、中小企業政策と企業成長の関係についての関係を分析し、手厚い中小企業政策が企業の成長のインセンティブを阻害する可能性を示した。この研究成果を査読付き学術雑誌に投稿し、Small Business Economicsに論文の掲載が受理された。第四に中小企業の事業承継が企業の成長や収益性、運転資本や設備投資に対してどのような影響を与えるのかを分析し、海外の学術雑誌に論文を投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下の三本の論文が査読付き学術雑誌に掲載が受理された。。 ・Tsuruta, Daisuke (2019) "Working Capital Management during the Global Financial Crisis: Evidence from Japan ", Japan and the World Economy, Volume 49, P.206-219. ・Tsuruta, Daisuke (2018) "SME Policies as a Barrier to Growth of SMEs", Small Business Economics, Online First . ・Tsuruta, Daisuke (2018) "Does a Working Capital Strategy Matter? Evidence from Small Business Data in Japan", Asia-Pacific Journal of Financial Studies, Volume 47(6), December, p.824-857. これらの論文は中小企業政策と企業成長の関係や、平常時および金融危機時のの中小企業の運転資本と企業パフォーマンスの関係について分析した論文であり、本研究の目的達成のために重要な研究成果である。また、上記のほかにも、中小企業の事業承継が企業の成長性、収益性、資金調達、投資行動等にどのような影響を与えるのかを明らかにした論文に対して海外学術雑誌より改定要求を受けている。このような状況から、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は未公表の論文を積極的に研究会等で報告し、必要な改定を行う。そのうえで、海外の学術雑誌に投稿を行い、研究成果を外部に公表する方針である。
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Causes of Carryover |
本年度は論文の改訂およびレフリーからの要求に対する対応を重点的に行ったことから、新規の分析のためのパソコンの支出を行わなかった。次年度はパソコンの購入に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)