2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03762
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
太田 浩司 関西大学, 商学部, 教授 (70366839)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自社株買い / データベース化 |
Outline of Annual Research Achievements |
企業が自社株買いを決議した場合には,「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」,取得が終了した場合には,「自己株式の取得終了に関するお知らせ」というタイトルで,東京証券取引所の運営するTDnetにおいて即座にその内容が開示される。そこで,本年度では,企業の自社株買いに関する開示情報をTDnetから取得し,それをデータベース化する作業を行った。具体的には,以下の項目に関する入力を行った。 ・取得公表日および公表時間,・法的根拠:取締役会決議なら会社法第165条or第459条,株主総会決議なら第156条,・取得理由:1=機動的な資本政策,2=資本効率の向上,3=株主価値(株主利益)の向上,4=ストックオプション,5=株主利益還元,6=株式交換,7=資本構成の再構築,8=その他,・取得予定期間,・株式の種類:1=普通株式,2=優先株式,3=後配株式,・予定する自己株式の取得総数,・予定する自己株式の取得総額,・予定取得方法:0=不明,1=市場買付,2=ToSTNeT2買付,3=ToSTNeT3買付,・発行済株式数(自己株式を除く)および自己株式数,・取得終了公表日および公表時間,・実際の取得方法:1=市場買付,2=ToSTNeT2買付,3=ToSTNeT3買付,・実際の自己株式の取得総数,・実際の自己株式の取得総額。 作業は順調であり,概ね予定通りにデータベース化することができた。ただ,まだもう少しだけサンプル期間を最近の年度を含めて拡張する必要がある。その作業にはそれほど時間を要するとは思われないので,できる限り早くデータ収集を終えたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に大きな問題が生じなかったため,概ね順調に作業を進めることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,自社株買いの終了が市場に与える影響の研究を,株式需給の観点から説明することを試みる予定である。 最初に,収集したデータを用いて,実際の自己株式取得期間を厳密に測定し,また,実際取得株数を予定取得株数で除することによって,各自社株買いプログラムの達成率を計算する。次に,実際取得期間における株式リターンを計算し,それが,実際取得株数および達成率とどのような関係を有しているかについて検証を行う。 米国における先行研究とは異なり,日本における先行研究からは,取得公表後に短期のドリフトが観察されることが報告されている。もしこの短期のドリフトが,株式需給によるものであるとするならば,取得期間中の株式リターンと実際取得株数および達成率との間には正の相関が観察されることが予想される。そこで,取得期間中の株式リターンを,実際取得株数,達成率,そして他のコントロール変数に回帰することによって,株式需給仮説の検証を試みる。 最後に,株式需給仮説は,自己株式取得期間中の株式リターン動向からだけではなく,終了時の市場反応からも検証可能である。なぜなら,もし株式需給仮説が正しいとすれば,自己株式取得終了の公表は,市場にとってBad Newsであると考えられるからである。そこで,取得終了の公表に対する市場の反応を短期で検証することによって,果たして,市場は終了公表に対して負に反応しているか否かを調査する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定の書籍の発行が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年からの持越し分も含めて,本年度は,Nikkei NEEDSが販売する「コーポレートガバナンス報告書」に関するデータを購入する予定である。また,企業の情報環境に関する影響をコントロールするために,IFIS社の販売する「IFISコンセンサスデータ」も,全ての期間は買えないので,予算の許す範囲内で購入する予定である。
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