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2018 Fiscal Year Research-status Report

戦間期における国際的金本位制の改廃に対する金融市場側の対応とその帰結の検討

Research Project

Project/Area Number 16K03767
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

高橋 秀直  筑波大学, 人文社会系, 助教 (00633950)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords経済史 / 金融史 / 外債 / 通貨選択約款 / 金本位制 / ロンドン国際金融市場
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度の研究実績は、学会報告と論文発表である。
論文の内容は、ポンド・ドル間の通貨選択約款の有無に着目して、戦前に日本政府が海外で発行した外貨建て債券(外債)のロンドン市場での価格の推移の違いを検討した昨年度の論文の内容を再検討するものである。特に、投資家が、ドル・ポンド間の通貨選択約款が付加されたポンド建て日本政府外債を、ポンド建て債券とみなして取引していたのか、あるいはドル建て債券とみなして取引していたのかという点に着目して、日本政府外債の価格の推移を再検討した。また、学会発表は、3年に一度開催される国際経済史大会(World Economic History Congress at Boston)において、国際金融センターの相互関連に関するパネル報告の一員として、主に両大戦間期における外国為替取引ネットワークの構造および同時期に増大した外国為替相場変動リスクと外債発行時に付加された通貨選択約款が持つ機能の変化の関連性について報告した。
両成果どちらも、両大戦間期における金本位制の改廃に対する市場参加者側の反応を検討するものである。主に、為替相場の切り下げや切り上げなどの外国為替相場の急変動というリスクに対して、いかにして市場参加者が対応したのかという点に焦点を合わせる内容である。既に先行研究は、市場参加者が直物や先物為替取引を用いて、通貨価値変動リスクに対応してきた点を明らかにしてきた。そして、平成30年度の研究成果が示すことは、通貨選択約款も外国為替相場変動リスクに対する保険として機能する側面があったということである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成30年度も、金本位制の改廃に伴う外国為替相場変動により、国境を越えた債権・債務価値が、外国為替相場変動の影響を受けやすくなった点を踏まえたうえ
で、市場参加者が様々なリスク回避策を利用するようになってきたことを明らかにしてきた。そして、これまでの研究成果を、少しづつ形にすることができてきた。
平成29年度に新たに参加した研究グループの助力を得て、ボストンにおける国際経済史大会などの学会で報告する機会を頂いた。また、経済史や金融史を研究する研究会に参加することで、様々な指導を頂ける機会が多くなった。
また、他の金融史研究者の助言により、昨年度末に行った海外での文書館調査において、新たな資料を見つけることができた。
そのため、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。

Strategy for Future Research Activity

平成31年度においても、通貨選択約款の視点から、19世紀末から20世紀前半におけるロンドン外債市場の検討を継続する。
平成29年度に国際金融センターに関する研究を進める研究グループに加えてもらった。そこでの助言を踏まえて、自身の研究を、国際金融センター間のネットワークとの関連性、外国為替市場のネットワーク構造という文脈に位置づけることを目指す。
平成30年度末に行った海外での資料調査により、本研究に関する新たな資料を発見できた。具体的には、19世紀において、当時の先進国と異なり、欧米の小国やアジアの国々が外債を発行する際に、通貨選択約款を付加したことが指摘されていたが、両大戦間期においても、依然として、外債発行の際に通貨選択約款を付加する慣行が廃れることはなかった事実を、昨年度の文書館調査で発見できた。
平成31年度は、複数回海外出張を行い、それらの資料の収集・分析と研究成果の発表を行う予定である。

Causes of Carryover

平成30年度に予定していた海外出張を学務などのため予定より少ない回数のみ実施した。そのため次年度使用額が生じた。
平成31年度に海外調査を複数回実施する予定である。ただし、学務や海外情勢の変化などにより、適宜予定を修正する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 「1931年のポンド危機における日本政府外債のロンドン市場における価格の推移」の再検討2019

    • Author(s)
      高橋秀直
    • Journal Title

      筑波大学経済学論集

      Volume: 71 Pages: 233,239

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Foreign bond price and adjustment of exchange rate a case study of Japanese government bond price in London market during the interwar period2018

    • Author(s)
      Hidenao Takahashi
    • Organizer
      World Economic History Conference, Boston
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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