2019 Fiscal Year Research-status Report
戦間期における国際的金本位制の改廃に対する金融市場側の対応とその帰結の検討
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16K03767
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 秀直 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00633950)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金本位制 / 外債 / ロンドン国際金融市場 / 外国為替相場変動リスク / 経済史 / 金融史 / 通貨選択約款 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度の研究実績は、学会報告である。 学会報告は、ケインズ学会第9回年次大会において、「第一次大戦以前と両大戦間期における国際金融市場の相互関連構造の比較」(企画セッション「ヴェルサイユ体制下におけるケインズの諸活動ー制度・政策、国際金融システム、芸術」内報告)を報告した。今回の学会報告は、19世紀末から第一次大戦後の両大戦間期における外国為替市場のネットワークの変化を検討することを中心に構成した。そして、当時の外国為替相場変動が増大したことに対して、当時の市場参加者がどのような行動をとっていたのかを検討した先行研究の内容を合わせて報告した。このような報告を行うことにより、本研究計画の内容を位置付ける文脈を先行研究の成果を整理することで明確にすることができた。 本研究において、今まで行ってきた両大戦間期における外国為替市場の発展、外国為替相場の変動リスクの増大に対処する方法として発展してきた先渡し取引市場の発展の研究を踏まえて、さらに、外債発行時に外債に付与された通貨転換約款に関する研究を、いくつかの資料とデータに基づき検討してきた。今後可能であれば、さらなる文書館における資料調査を行い、新たな金融データを入手して、研究計画を開始した際の作業仮説のさらなる検討を行うことに加えて、両大戦間期における外国為替変動リスクの増大に対して、いかなる対応がなされてきたのかについての諸研究を整理することにより、本研究成果を位置づける研究上の文脈を明らかにする作業を行う予定である。そのため、海外での文書館の調査の準備及び当時の国際金融に関する最新の研究成果について整理する作業も並行して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度も、19世紀初めから拡大してきた国際的な債権・債務関係が、両大戦間期における金本位制の改廃に伴う外国為替相場変動により、その価値を増減させることが多くなった点を踏まえたうえで、市場参加者が、債権・債務の価格変動の増大というリスクに対する様々な回避策を発展させてきたことを明らかにしてきた。そして、これまでの研究成果を、少しづつ発表するだけではなく、さまざまな研究者の助力を頂き、発展させつつある。 平成29年度に新たに参加した研究グループの助力を得て、平成30年にボストンにおける国際経済史大会などの学会で報告する機会を頂いた。また、経済史や金融史研究者が集まる研究会に参加することにより、様々な助言を得られる機会が多くなった。海外調査の経験が豊富な金融史研究者の助言を頂いたことで、平成31年3月と6月に実施したロンドンでの文書館調査において、新たな資料群を見つけることができた。 現在、さらなるロンドンでの文書館調査の実施を目的として、研究期間を延長させていただいた。だが、現状、令和2年初旬からのCovid-19による国際的な影響により、ロンドンでの資料調査を再度実施できるかどうか難しい状況である。現在、令和3年初旬に、再度の海外調査の実施を計画しているが、再度の国際的なウィルスの拡大により、実施ができない可能性もある。そのため、現在は、日本国内で得られる資料に基づき、研究を進める方針である。 そのため、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ロンドンでの文書館調査の再度の実施を目的として、研究期間を延長させてもらっている。だが、現状、令和2年初旬からのCovid-19による国際的な拡大のため、ロンドンでの資料調査を再度実施できるかどうか難しい状況である。現在、令和3年初旬に、再度の海外調査の実施を計画しているが、再度の国際的なウィルスの拡大により、実施ができない可能性もある。そのため、現在は、日本国内で得られる資料に基づき、研究を進める方針である。 また、今回の研究計画を進めてきたことにより、様々な研究者とつながることができた。今後も、チームを組んでの国内及び海外での学会報告を現時点で計画している。ただし、Covid-19の国際的拡大が継続する場合、海外での学会報告を断念せざるを得ない可能性もある。この場合、国内の学会での報告を行う形になる予定である。
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Causes of Carryover |
平成31年度末に予定していた海外出張を、平成31年3月と6月に実施した文書館調査で発見した資料群の再度の調査のために延期した。そのため、次年度使用額が生じた。令和2年度に海外調査を複数回実施する予定であるが、Covid-19の状況次第で、国内での資料調査などに適宜変更する。
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Research Products
(1 results)