2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Regional Fragmentation and the Reintegration of West African Economy through a Perspective of Currencies:20th and 21th Century
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16K03771
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セネガル銀行 / 西アフリカ / 通貨 / CFA / ECO / 植民地主義 / 宗主国 / 旧仏領西アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、宗主国によって分断された西アフリカの通貨圏が、再統合の方向にすすんでいることを踏まえて、歴史的経緯からその可能性と意義を検証することを目的としている。 独立後、多くの国はNational Currencyを発行することを選択したが、旧仏領西アフリカ諸国は、植民地時代に形成された制度を継承する形で、フランスの通貨にペグする共通通貨CFAフランを依然として共有している。CFAフランの価値は、通貨を発行する西アフリカ諸国銀行が保有する外貨の50%をフランス国庫に預けることを条件に、フランスによって全面的に保証されている。このことが、西アフリカ全体で計画されている共通通貨ECO発行の一つの障害となってきた。しかし、2019年に入り大きな動きがみられた。2019年6月に、従来の二段階方式での通貨統合をあきらめ、条件を満たした国からECOを発行するという方針の転換が示されたのである。これにより、技術的には、旧仏領西アフリカの共通通貨CFAフランをそのままECOにし、そこに準備ができた国から加わるという新たな道筋が開けた。 この方針の大転換は、世界中で話題となった。そこで、まずは時事解説として、アジア経済研究所の『アフリカレポート』に、方針の転換の背景と今後の展望について発表した。多くの人にダウンロードしていただいた。また、現在の通貨制度の礎となる19世紀のセネガル銀行および通貨取引に焦点を定め、大阪大学、バルセロナ大学、ボローニャ大学にて研究発表を行った。また、旧英領西アフリカの植民地化過程を調査する目的で、秋に2カ月ほどケンブリッジ大学に滞在し、図書館で専門ジャーナルや書籍を読み、セミナーに参加した。 口頭発表の成果は英語で執筆しており、共同研究者が計画している出版プロジェクトの一部として発表する予定である。英領西アフリカの制度との比較についてはまだ進行中である。
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