2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Analysis of Land Real Estate Market and Financial Market in Edo and Tokyo: Long-term Time-series Analysis of Mortgage Interest Rate and Return on Assets
Project/Area Number |
16K03778
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鷲崎 俊太郎 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (50306867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 江戸 / 大阪 / 米価 / 利子率 / 金利 / 近世 / 不動産 / 抵当 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の本研究は,近世都市における利子率の推移について,2つの時系列的指標を作成し,決定要因を分析したうえで,その標準化に成功した。 1つ目は,江戸における不動産抵当金融(家質貸)の利子率である。この1次データとなったものは,これまで使用してきた築地・鉄砲洲地区の「沽券帳」・「家質証文帳」(旧幕府引継書,国立国会図書館所蔵)である。分析の結果として,物価と利子率の間には有意で明確な正の相関が見られた。さらに,1840年代から上昇を開始し,幕末の1860年代には1780年代の水準を上回るまでに回復していた。以上の考察から,江戸の金融市場では,景気の上昇局面において物価も利子率も上昇するというメカニズムが作動していたと判断される。 いま1つの指標は,大阪における大名貸利子率である。この1次データとなったもは,宮本又次編[1963]『近世大阪の物価と利子』創文社所収の鴻池両替店の大名貸データを利用する。こちらも,物価と利子率の相関が有意で正だったものの,資金の過剰供給や金余り状態を原因とする相対的な低金利時代を迎えたおかげで,幕末まで低下・停滞した推移を辿ったことが明らかとなった。 ゆえに,2種類の推移から,19世紀前半の江戸には大阪とは裁定関係になかったもう一つの金融市場が存在していたのではないかと主張される。 以上の研究結果は,2018年に開催された2つの国際学会(Asian Historical Economics Conference:香港,9月22日;SSHA Meeting:フェニックス,11月11日)で報告するとともに,前者に関しては,「江戸における米価と不動産抵当金利の時系列推計分析 ―八王子米価と築地・鉄砲洲地区家質利子率―」,『経済学研究』第85巻第4号(2018年12月),41-57頁として上梓した。
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Research Products
(4 results)