2016 Fiscal Year Research-status Report
19世紀半ばにおけるジョン・ブライトと急進派議員のネットワークに関する研究
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16K03782
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岩間 俊彦 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (20336506)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジョン・ブライト / 19世紀 / イギリス / 自由貿易 / 平和主義 / シティズンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
英国ロンドンの英国図書館にて、ジョン・ブライトに関する手稿資料の調査を行った。特に、ブライトと、ウィリアム・グラッドストン、ジョゼフ・スタージ、リチャード・コブデン、リポン卿をはじめとする政治家や政治運動家等の間の書簡について調査し、一部を電子的に記録することができた。これらの調査を通じて、同時代におけるブライトの政治構想や社会観が、コブデンやグラッドストン等といった議員や政治運動家との間で、形成されたことを示す証言を得ることができた。さらに、ブライトが関わった知識への課税に反対する社会運動の結社に関する資料の調査を行い、ブライトの知識・出版・課税に関する見解や活動について確認できた。 そして、上記の資料調査、文献調査と考察、新聞データベース等の分析を通じて、ジョン・ブライトの活動やネットワークについて、消費社会という観点から考察を進めるという新たな視角を生み出すことができた。 2016年11月には、ブライトも深く関わった自由貿易運動に関する最新の研究書の翻訳(フランク・トレントマン『フリートレイド・ネイション』NTT出版)刊行記念のセミナーにて、原著者Frank Trentmannの報告に対してコメントを行うことにより、英国の自由貿易や市民社会に関する見識を深めるだけでなく、自由貿易史に関する見解の交換を行った。 これらの調査や研究活動に関連して、ジョン・ブライトとバーミンガムの討論団体の関わり等について考察したShaping Civic Culture through Public Discussionという題の論文を英国の学術雑誌Midland Historyにて掲載しただけでなく、ブライトの出身選挙区のバーミンガムについて、『バーミンガム史』の形成、という題にて、日本にて学術論文を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関連した研究成果を刊行し、研究成果に関する報告準備や投稿準備も行っている。よって、研究調査と精緻かつ綿密な資料分析を進めれば、今後も研究成果を公開できる見込みである。 他方で、英国ストリートの文書館に所蔵されている大部の未刊行資料の調査や英国図書館における手稿資料の調査だけでなく、新聞をはじめとするデータベースの検索・考察や本研究に関連する最新の研究成果の入手・検討については、引き続き進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、ジョン・ブライトと消費社会consumerismという視点から、ブライトによる消費社会への発言や提言、消費社会をめぐるブライトと急進派議員の関係の考察、ブライトと急進派議員における消費社会観の類似と相違、について、日本でのデータベース分析と英国における原資料調査と分析を進めながら、論文作成と研究報告を行う。 上記の研究を遂行するために、資料調査として、英国ストリートの文書館において、急進派議員との関係についてしばしば記しているジョン・ブライトの日記資料のもとと考えられる手稿の調査・確認・収集を進めるとともに、英国ロンドンの英国図書館の手稿部にて、ジョン・ブライトと急進派議員の関係を示す資料を閲覧し、分析する。 さらに、英国の新聞に関するデータベースを調査し、ジョン・ブライトと消費社会に関する記事を検索し、分析し、本研究の証言として活用する。 また、2016、2017年に刊行された急進派議員に関する論文や著作を調査し、これらの研究成果と本研究の関連を確定し、同研究の意義を明確化する。
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