2017 Fiscal Year Research-status Report
19世紀半ばにおけるジョン・ブライトと急進派議員のネットワークに関する研究
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16K03782
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岩間 俊彦 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (20336506)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジョン・ブライト / 19世紀 / イギリス / 自由貿易 / 消費主義 / シティズンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
英国ロンドンの英国図書館の貴重書部にて、ジョン・ブライトや彼と親交のある急進派のリチャード・コブデンが関与していた反穀物法運動の運営団体に関する定期刊行物、3種類(Anti-Bread Tax Circular, 1841-3; The League, 1843-6; Bazaar Gazette, 1845)、手稿部では、ジョン・ブライトの書簡について、調査した。これらの調査を通じて、上記の刊行物の形態や目的が変化したことが明らかとなっただけでなく、同時代におけるブライトの政治構想や社会観が、1840年代を通じて形成されたことが確認できた。さらに、反穀物法運動におけるブライトやコブデンの位置や役割が、1840年代初めから半ばにかけて、変化したことも判明した。また、上記に関連したブライトの動向や判断についても、ブライトと政治運動家の間の書簡から、確認できた。 これらの定期刊行物の証言や書簡の証言は、同刊行物の発行中に出版が開始された競合誌であるEconomistの証言と比較検証する必要性があることも判明した。そこで、関連する定期刊行物や新聞のデータベースを活用した結果、反穀物法運動とジョン・ブライトやリチャード・コブデンとの関係が、より具体的に明らかとなった。 上記の資料調査、文献調査、資料・文献分析を通じて、ジョン・ブライトと消費社会の関連は、反穀物法運動の展開、急進派の政治家や運動家との関係、自由貿易の運動、政治や経済改革の運動、といった展開や背景の中で、考察される必要性が明らかとなった。 以上の調査や研究活動に関連して、John Bright and consumerismという題にて、英文の研究報告を行い、本研究に関連する文献の書評等を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関連した研究報告John Bright and Consumersim: を英文にて行い、有益なフィードバックを得た。2018年度には、フィードバックを参照しつつ改訂した成果を日本西洋史学会とイギリスの大学の研究セミナーで研究報告する予定であり、これらの報告を基礎とした学術論文も作成中である。また、ジョン・ブライトに関する手稿資料と刊行資料の継続した調査と綿密な資料分析を進めれば、今後もジョン・ブライトとリチャード・コブデンのような急進派議員の間のネットワークに関する研究成果を公開できる見込みである。 今後も、英国ストリートの文書館等に所蔵されている大部の未刊行資料の調査、英国図書館やその他の文書館に所蔵されている未刊行の手稿資料の調査は、引き続き進める必要がある。同時に、国内外において、19世紀の定期刊行物や出版物に関する電子データベースも関連した用語や視点から網羅的に検索し、収集した証言を精査する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、2017年度に進めたジョン・ブライトと消費社会という視点を引き続き用いて、研究を遂行する。すなわち、ブライトの消費社会に関する言説や活動について、歴史的背景や歴史的過程から綿密に考察するために、既に収集した資料の分析、データベースの検索調査とその分析、そして、英国における資料調査やこれらの資料分析を進める。 上記の研究遂行の一環として、2018年5月に日本西洋史学会で研究報告を行うだけでなく、2018年の後半には、英国の大学にて資料分析と研究報告を行う予定である。また、英国ロンドンの英国図書館等での手稿資料調査やその他の英国の文書館でも資料調査を行う予定である。 さらに、2017年度に収集した反穀物法運動の定期刊行物3点の記事とあわせて、英国の新聞やEconomistをはじめとする定期刊行物に関するデータベースを用いて、ジョン・ブライトと消費社会に関連する記事を検索し、これらの記事があらわす歴史的過程や背景について考察する。 以上の研究成果をふまえて、ジョン・ブライトと消費主義に関する学術論文を執筆・推敲し、英文の学術雑誌と、日本語の学術雑誌または論文集に投稿する準備を行う。
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